ジェフ・ベゾス アマゾンCEOが不倫報道の出版社に反撃

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米アマゾンのジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)最高経営責任者(CEO)は7日、ブログサービスのMediumを通じ、自身の不倫報道に関してタブロイド紙からゆすりや恐喝を受けていることを明かした。

ベゾス氏は先月9日、25年間連れ添った妻、マッケンジー(MacKenzie)さん(48)と離婚する意向をツイッターで表明した。しかしその直後に、複数メディアが、元TVキャスターのローレン・サンチェス(Lauren Sánchez)さんと愛人関係にあることを報道。中でもタブロイド紙の最大手、ナショナル・エンクワイアラー(The National ENQUIRER)は、ベゾス氏がサンチェス氏に送ったテキストメッセージを暴露し、話題となった。メディアで公表されなかったが、ベゾス氏の裸の写真が流出したことも明らかとなった。

ベゾス氏はテキストや写真のリーク元を探るために、長年セキュリティコンサルタントを務めるギャヴィン・デベッカー(Gavin de Becker)に調査を依頼したが、ナショナル・エンクワイアラーの親会社であるAmerican Media Inc.,(AMI)側から連絡があり、調査を辞めなければ、不倫に関するさらなる情報を公開すると脅されたという。

ベゾス氏の話によると、AMIの弁護士から、ディビッド・ペッカー(David Pecker)会長兼最高経営責任者(CEO)がベゾス氏の調査に憤慨しているとの連絡があった。その数日後、調査を辞めなければ、テキストや画像を公開すると口頭で告げられたという。

ベゾス氏の弁護士は、画像には報道価値がなく、誰も著作権を所有していないため、AMI側に公開する権利はないと主張した。

一方、エンクワイアラーは、テキストと写真は合法的に入手し、著作権法の公正使用(フェア・ユース)の理論により、それらを公表する権利を有すると述べている。有名なベゾス氏の写真には、報道価値があるとしている。

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ベゾス氏 AMIからのメールを公開

AMIの編集トップ、ディラン・ハワード(Dylan Howard)氏は2月5日、デベッカー氏の弁護士マーティン・シンガー(Martin Singer)氏宛のメールで、下半身のセルフィーに加えて9枚の画像を所有していると主張。その中には、ベゾス氏の半裸のセルフィーやサンチェス氏の谷間や股間部分が一部入った画像などが含まれていると述べている。

同日、ワシントンポスト紙は、ベゾス氏とデベッカー氏は、テキストと写真の流出元がサンチェス氏の兄弟、マイケル氏だとの疑惑を抱いていると報じた。
記事によると、マイケル氏はカリフォルニア州の企業でパブリックリレーションの役員を務めている。マイケル氏は、ペッカー氏や、トランプ大統領の選挙参謀を務め、ロシア疑惑で逮捕されたロジャー・ストーン(Roger Stone)氏や、カーター・ペイジ(Carter Page)氏とも近しいという。マイケル氏は疑惑を否定している。

翌日、AMIジョン・ファイン(Jon Fine)次席法務顧問からベゾス氏への要求が電子メールで送信された。その中のひとつに「AMIの記事は、政治的動機や政治勢力に影響を受けたという事実を我々は知らなかった。」旨をベゾス氏とデベッカー氏に発表を要求するものだった。要求に応じた場合、AMIはテキストや画像の公開をしないことに同意するとしていた。

ベゾス氏は、今回のブログを通じて、これらの要求に応じない姿勢を示したこととなる。同氏は、個人的代償や恥ずかしさはあるが、脅迫に屈せず、彼らが送信した内容を正確に公表することを決意した、と述べている。

またベゾス氏は、トランプ氏から元プレイメイトに支払われた口止め工作で、主導的役割を果たしたペッカー会長とAMIが、捜査に協力した代わりに起訴を免除されていることや、サウジ政府との関わりにおいて捜査対象になっていると主張。ペッカー氏が、AMIを政治的理由で利用していることを強調した。さらに自身がワシントンポスト紙のオーナーであることで、私が敵視されることは避けられないことだと述べ、トランプ大統領も自分を敵視する一人だと述べた。

ベゾス氏は、連邦政府による捜査を要求

ワシントンポスト紙は、ベゾス氏の今回の公開文書が、2016年の口止め料の支払いに関して、AMIがマンハッタン地区の検察官と交わした不起訴の合意に違反した可能性があるとして、連邦政府による捜査を提案していると述べている。

ベゾス氏は、AMIと司法省の合意内容を記述しており、元連邦検察官のロバート・ミンツ(Robert Mintz)氏は、これが真実なら、検察官とAMI双方にとって重大な影響を及ぼすとしている。AMIを訴追することになった場合、他の進行中の捜査能力を弱体化させる恐れもあると述べている。