ウディ・アレン新作 過去最低のオープニング

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29日から米国で公開がスタートしたウディ・アレン監督(86)の最新作「Rifkin’s Festival」の週末の興行収入は2万4,000ドル(270万円)となり、監督の過去49作品中最低となったことがわかった。The Wrapが伝えた。

映画は、ランドマーク・シアターズ系列を中心とする全米26の映画館で公開された。最も売り上げたのはロサンゼルスの劇場で、週末二日間の興収が2,300ドル。マンハッタンのクアッドシネマでは、わずか1,600ドルだった。

なお2017年公開の「女と男の観覧車」(Wonder Wheel)では、オープニングの週末3日間、5館で約12万5000ドルを売り上げた。

2017年は、ハーヴェイ・ワインスタイン性的虐待疑惑をきっかけに始まった#MeTooムーブメントの高まりで、養女への性的虐待疑惑が再燃した年でもあった。疑惑は、アレンが90年代、当時7歳だった養女のディラン・ファローに屋根裏部屋などで性的虐待をしたとするもので、アレンは一貫して否定している。

当時、捜査の一端を担ったコネチカット州検察は刑事事件として起訴するに足る理由があるとするも、最終的に不起訴とした。ただし、アレンが潔白の根拠と主張したディランの精神鑑定結果には、今でも不可解な点があり、当時捜査を仕切った検察官は、昨年放送のドキュメンタリーで、検査はアレンを逃がすための評価だったと振り返っている。

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疑惑の再燃により、アマゾンが撮影済みの作品「レイニー・デー・イン・ニューヨーク」の米国での劇場公開を見送り、残り3作品の契約を破棄。さらに回顧録の発売を予定していたアシェット・ブック・グループが出版をキャンセルする事態にまで発展した。

「Rifkin’s Festival」に出演した俳優のウォーレス・ショーン(78)とジーナ・ガーション(59)は、数少ないアレン監督の擁護派。ウォーレスは今月行ったテレビのインタビューで、「ディランが言っていることは、実際に起きていない」「ウディ・アレンは無実だと思う」と主張。同席したジーナは「私たちには関係ない。家族のことでしょ」と、出演理由を話した。

評価は?

「Rifkin’s Festival」は、引退した映画研究の教授と広報の仕事をする妻が、スペインのサン・セバスチャン映画祭で若き芸術家とそれぞれ恋に落ちるというコメディー映画。同作について批評家は幾分冷めた評価を下しており、映画レビューサイトRotten Tomatoesには先月末の時点60件のレビューが寄せられ、批評家評は43%、一般観客は41%となっている。

同作品は2019年夏に撮影されたが、俳優や配給会社がアレン監督の疑惑を受けて距離を置いていることや、パンデミックの影響があって公開が遅れ、ようやく劇場とネット配信で同時リリースされた。前作「レイニー・デー・イン・ニューヨーク」に続き、MPIメディアが手がけている。

匿名の映画プロデューサーは、同サイトに「彼(アレン監督)と仕事をするスタジオはもうない。まともな会社ならまず彼と関わろうとしないー残りの人生は、ヨーロッパの資本家の助けを借りるしかないだろう」と指摘。米国での再浮上は厳しいとの見方を示している。