トランプ氏の刑事訴追「証拠は十分」、弾劾裁判弁護士

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FBIによるトランプ氏邸の家宅捜索をめぐり、米メディアでは司法省が前大統領の起訴に踏み切るのかどうか、議論が高まっている。

25日には、令状の取得にあたり、捜索の正当性を示すために裁判所に提出されたFBI特別捜査官による宣誓供述書が公表された。

32ページにわたる書類で、捜査官は、トランプ氏のフロリダの邸宅「マールアラーゴ」には、1月に国立公文書館(NARA)が15箱分の資料を回収した以降も、機密の国防情報や大統領記録が違法に保持され、さらに捜査妨害の証拠があると考える十分な理由があると説明した。ただし、大部分が塗りつぶされており、どのような証拠や証言が提示されたかは明らかにされていない。

一方、NARAが、昨年5月からトランプ氏側に資料の返還を求めていたことや、今年1月に持ち帰った15箱に、国防情報を含む機密文書が184点あったことが明らかにされた。また、今年6月、司法省とトランプ氏の法務顧問の間で交わされた、違法な文書の保管をめぐるやりとりも部分的に公開された。

ロバート・モラー特別検察官のロシア捜査チームの一員だった、アンドリュー・ワイズマン氏は、MSNBCの番組で、トランプ氏側がNARAや司法省にすべての資料を返還した主張していたのは、少なくとも「不正確」で、意図的だったとの報告があるとし、「妨害」があったと考えるのは簡単だと主張。予測と憶測の範囲を超えないと前置きしつつ、「これ(宣誓証言書)を読んだ私の結論は、前大統領は起訴されるということだ」と語った。

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ハーバード大学ロースクールの教授で、トランプ氏の第一回目の弾劾裁判で弁護団に加わったアラン・ダーショウィッツ氏はFOXニュースのインタビューで、捜索に相当の理由があったことは確実だと指摘。一部で、捜索令状を認めたフロリダ州連邦地方裁判所のラインハート判事が批判の対象とされていることについて「いかなる判事も同じ判断を下すだろう。不正でもなんでもない」とした。一方で、問題は「自らのガイドラインに従わなかった司法長官だ」と主張。宣誓証言書は、事件の「緊急性」が示されていないとし、捜索令状を求めたことは正当化できないと語った。

起訴の可能性については、「トランプを起訴する十分な証拠がある」と主張しつつも、「ニクソンークリントン基準」を合格しておらず、司法省は起訴しないだろうとの見解を示した。

「ニクソンークリントン基準」について、ダーショウィッツ氏は「ニクソン基準とは事件が、共和党でさえも支持するほど圧倒的に強力でなければならない。クリントン基準とは、刑事訴追に至らなかったクリントン事件より深刻なのかどうかというものだ」と説明した。