ロシアのメドベージェフ前大統領は22日、テレグラムのチャンネルの投稿で、前日のプーチン大統領の演説に触れ、住民投票によってウクライナ東部にあるドンバス地方のドネツク人民共和国やその他の領土がロシアに編入されると主張。ロシア軍はこれら地域の保護を大幅に強化し、「保護のために、戦略核兵器や新原則に基づくものを含むあらゆる兵器が使用されうる」と、新たな領土が攻撃を受ければ、核兵器が使用されるとの考えを示した。

プーチン大統領は21日に国民向けに行った演説で、親ロシア派のドネツクおよびルガンスク人民共和国、ヘルソンとザポリージャの軍民政権が、領土の将来を決する住民投票を行うとし、ロシア政府は結果を支持すると表明した。

演説では同時に、予備役を動員して兵力を増強すると発表。ウクライナを支援する欧米諸国に対し、ロシアの領土や市民の安全が脅かされることがあれば「あらゆる手段を講じて戦う用意がある」と警告し、「ハッタリではない。核兵器で我々を脅そうとすれば、それはそのまま自分たちに返ってくると理解しておくべきだ」と威嚇した。

ロシアの核戦力は?

米国科学者連盟(FAS)によると、2022年前半時点で核を所有するのは保有数順にロシア、米国、中国、フランス、英国、パキスタン、インド、イスラエル、北朝鮮の9か国。これらの国が保有する核弾頭の総数は約1万2700個だが、中でもロシアと米国は群を抜き、この2国だけで9割以上を保有している。

ロシアが保有する核弾頭の総数は推計5977個で、そのうち戦略弾頭1,588個が配備済みとみられる。1588個のうち、812個が地上発射型弾道ミサイル、576個が潜水艦発射型弾道ミサイル、およそ200個が重爆撃機に配備されている。このほか、977個の戦略弾頭と1912個の非戦略弾頭が保管されており、残りの1500個が退役・解体待ちとなっている。

ちなみに米国の核弾頭の総数は、5428個で、配備済みの戦略・非戦略弾頭は合わせて1744個と推定されている。

旧ソビエト連邦が最初の核実験を行ったのは1949年8月29日。RDS-1というコードネームのもと、カザフスタンのセミパラチンスクにある核実験場で実行された。1949年から1990年にかけ、旧ソ連は715回の核実験を行ったとされる。

1961年には、北極海のノバヤゼムリャ列島で、「ツァーリ・ボンバ」の通称で知られる世界最大の水爆実験を行った。その威力は広島に投下された原爆の3300倍とされる50メガトンに及んだと言われる。

ロシアが保有する戦略兵器の柱の一つ、大陸間弾道ミサイル(ICBM)は、ロンドンやワシントンなど世界の主要都市に到達、破壊する能力を備える。スカイニュースによると、ICBMは発射後10分でトップスピードに達し、20分でイギリスに到達する。軍事専門家で元英陸軍将校のリチャード・バロンズ氏は同番組に、威力は300キロトンから800キロトンだと説明。ワシントンやロンドン、パリを破壊するのには300キロトンで十分だ語った。

バロンズ氏はまた、射程距離37キロメートル程度の自走式カノン砲など、より小型の兵器でも、1キロトンの核弾頭を発射できると解説。さらに、最大射程距離500kmの短距離弾道ミサイル、イスカンデルでは5キロトンから50キロトンの核弾頭の発射が可能だとし、これらの兵器で、壊滅的なダメージを与えることができると話した。

*軍事演習における大陸弾道間ミサイル発射の様子

米露核戦争の被害は?

米プリンストン大学の研究者らは、ロシアとの全面核戦争に突入した場合、開始から数時間で9,000万人以上が死傷する可能性があるとしている。

両国の核戦闘能力、核戦争計画、核兵器の標的を元に、シミュレーションを行い算出したもので、2019年にYoutubeで公開した。死傷者数は爆発によるものに限定しており、死の灰や長期的影響により、死者数は著しく増加するだろうとしている。

「Plan A」と題された動画では、米国とNATOの前進を阻止するために、ロシアが警告弾を発射することから始まり、たちまち全面的な核戦争にエスカレートするシナリオとなっている。

開始から3時間で、ロシア300発、NATO180発の合計480発の戦術核兵器が使用され、260万人の死傷者が出る。標的にはヨーロッパ全土のNATO基地が含まれる。

ヨーロッパが破壊されると、米国本土または潜水艦から、ロシアの核戦力破壊のために600発の戦略核兵器が発射され、45分間で340万人が死傷する。

この後、敵の回復を阻害するため、互いに経済の中心都市を標的とした攻撃が展開され、8,530万人の死傷者が出る。研究者らは核戦争開始から数時間で、死傷者は9,150万人(死者3,410万人、負傷者5,740万人)に上ると結論づけている。