米下院共和党 つなぎ予算案めぐって党内対立 政府閉鎖の影響は?

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昨日夜に明らかにされた下院共和党のつなぎ予算案をめぐって、党内の保守強行派から反対の声が相次いだ。

17日、下院共和党の主要派閥で穏健派のメインストリート・コーカスと保守強硬派のフリーダム・コーカスの指導者らが、政府閉鎖の回避に向けた1ヶ月間のつなぎ予算案で合意に到達。木曜日に採決にかけられる見通しが伝えられた。

同日公表された法案には、国防総省と退役軍人省以外のすべての省庁の予算を1%削減する内容のほか、トランプ政権時代の厳しい移民政策を復活させる「Secure the Border Act of 2023」が一部の内容を除いて盛り込まれた。一方、災害救援金や政府が要請していたウクライナへの追加支援金は含まれていない。

ケビン・マッカーシー下院議長は、下院を通過させて民主党優勢の上院との議論につなげたい考えとされるが、下院共和党では12人を超える議員がすでに反対を表明しており、通過が危ぶまれている。

マット・ローゼンデール議員(共和党 モンタナ州):「つなぎ予算案は、ナンシー・ペロシ氏の予算とジョー・バイデン氏の政策の継続だ。われわれは一月に政府に資金を提供する民主党のトリックを使わず、12本の歳出法案を提出すると確信していた。だからこそ政府に責任と透明性を持って資金を提供できるのであり、それが、つなぎ予算に反対票を投じる理由だ」

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米国政府の会計年度は毎年10月1日から始まり、議会を通過し大統領の署名によって成立する12の歳出法案をもとに運営される。新会計年度の開始までにすべての歳出法案が成立するのはごく稀(1977年、1989年、1995年、1997年の4回のみ)で、最終的な成立までの間、つなぎ予算を成立させて政府を継続運営するのが通例になっている。歳出法案やつなぎ予算が成立しなければ、政府閉鎖につながる可能性がある。

政府の閉鎖は、現在の予算プロセスが制定された1976年以来、21回起きているという。最長記録はトランプ政権の2018年12月22日から翌年1月25日まで35日間続いた閉鎖で、1995年のクリントン政権時代の21日間が2番目に長かった。

政府が閉鎖に陥ると、多くの政府職員が出社しないよう命じられる。ワシントンポスト紙は停止されるサービスの際立ったものとして、国立公園施設やスミソニアン博物館の閉鎖、ビザやパスポートの処理、労働省や商務省による経済報告の遅れが挙げられるとしている。

軍事活動や航空交通管制、連邦犯罪捜査といったエッセンシャルな活動は継続する。郵便局や中央銀行は独自の資金があり、ほとんど影響を受けない。

ソーシャルセキュリティやメディケアの支給は、議会による年度の承認を得る必要がないため滞ることはない。財務省も国債の利息を予定日通りに支払う。

連邦政府の支出は米国のGDPの約4分の1を占め、長期化した場合の経済への影響を懸念する声もある。議会予算局の推計によると、2018年から2019年の35日間の政府閉鎖は、2018年第4四半期の実質GDPを30億ドル、2019年第1四半期の実質GDPを80億ドル低下させた。GDPの割合ではそれぞれ0.1%、0.2%減少させる効果をもたらしたとしている。