トランプ大統領 35日間の政府閉鎖に終止符 – 閉鎖による損失は?

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政府機関の一部閉鎖が35日目を迎えた1月25日、トランプ大統領は、閉鎖となっている機関を3週間再開し、その間に南部国境の壁の建設を含む国境警備について、民主党と交渉を継続することに合意。公約実現のために求めていた57億ドルの国境の壁建設費用を、政府再開の条件とすることを取り下げた。

ホワイトハウスの記者意見でトランプ大統領は「閉鎖を終了し、連邦政府を再開することで我々が合意に至ったことを報告できることを大変嬉しく思う」と発表。一方で「ご存知の通り、現時点で使用することは控えたいが、私には強力な代替方法がある。それが不必要であることを願うが」と、3週間の間に、民主党との交渉が決裂した場合、非常事態宣言の可能性もありうることを示唆した。

この日、連邦議会では、国境の壁建設費用を含まない2月15日までのつなぎ予算を可決。トランプ大統領が署名をし、過去最長となった政府閉鎖に終止符が打たれた。

閉鎖による損失は?

政府機関の一部閉鎖で、80万人の政府職員が、休暇または予定日に給与が支払われないまま勤務することを余儀なくされた。25日には、連邦航空局がニューヨークやニュージャージー、フィラデルフィアなど米北東部の主要な空港で、航空交通管制部スタッフの不足により、航空便に遅れが出ていることを発表。ジャクソンヴィル(Jacksonville)や、ワシントンDCなどでは、飛行禁止命令が出された。

S&Pグローバル・レーティングは25日閉鎖の影響を受けた職員の生産性や経済活動が失われたことにより、少なくとも60億ドルの経済損失が出ていると発表した。

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閉鎖はトランプ大統領や共和党の支持率にも影響を与えた。Politicoの調査では、政府閉鎖の責任をトランプ氏または共和党の責任とする割合が54%となり、民主党の35%を大きく上回った。またCBSの調査では10人中7人が、国境の壁と引き換えに政府閉鎖をするべきでないと回答した。AP通信社の調査では、大統領の仕事ぶりに関する支持率が約一ヶ月前の42%から35%へと低下。ファイブサーティエイトは、昨年12月20日前後を境に支持率が低下する傾向を明確に示している。

保守コメンテーターなど、影響力のある支持者は、トランプ大統領の妥協に対し様々な反応を示した。

12月に上院を通過した壁建設費用を含まない予算案をトランプ大統領が拒否する意向を示した際、大統領の意思決定に影響を与えたと言われるコメンテーターのアン・コールター氏は、ジョージ・H・W・ブッシュはもはや最も腰抜け弱虫の大統領ではなくなった、と皮肉った。

また同日、ビル・マー司会のHBOのトーク番組『リアル・タイム』に出演し、「彼(トランプ大統領)は18ヶ月間約束をし、嘘をついた」と非難した。

「ウィークリー・スタンダード」誌創刊者のウィリアム・クリストル氏はトランプ政権の敗北を強調。

もとフォックスニュースの司会 ビル・オーライリー氏はトランプ大統領の決断を合理的で良いことだと評価した。