ロシア「死の商人」ブート、戦闘参加をやんわり否定

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昨年12月に米女子プロバスケットボールのブリトニー・グライナー選手との囚人交換により、14年間服役したイリノイ州マリオンの刑務所から釈放された「死の商人」ことビクトル・ブート氏。帰国直後、ロシア国営メディアの取材に、ウクライナ侵攻を支持しているとし、「志願する準備ができている」と答えたが、約1ヶ月たって気持ちが変わったようだ。

デイリービーストの記者ジュリア・デイビス氏が、YouTubeにシェアしたロシアのラジオ番組で、ゲストとして出演したブート氏は冒頭、刑務所で出会ったアメリカ人の様子などについて饒舌に話していたが、視聴者から戦闘への参加に関する質問を受けると、顔を曇らせた。

司会者が「ブートにソレダルで戦うワグナーグループに参加してもらって、祖国への愛国心があるか証明させよう。プリゴジンは彼に参加を要請したのか?」と質問を読み上げると、ブート氏は表情を変え、間を置いてから、「参加の要請はない」と回答。「君たちは、どこで自分が最も活かせるか、どの自分のスキルと知識が役に立つのか理解しなくてはならない」と、参加の可能性を暗に否定した。

ロシア国防省は12日、東部ドネツク州の要衝バフムート近郊にある小さな町ソレダルを制圧したと発表。集団突撃、陸軍航空隊、ミサイル部隊、大砲による絶え間ない砲撃によって勝利を可能としたと戦果を強調した。一方、ウクライナは現在も戦闘は継続中だと反論している。

ウクライナ侵攻に対する姿勢を聞かれると、ブート氏は、「祖国の愛国者である他のロシア人男性諸君と同様、私はこの作戦を支持している。勝利を早め、目標を達成するために、できるかぎりのことをするつもりだ」と話した。

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「アメリカ人は勝てないとわかっているのに、なぜウクライナの人々を消耗し続けるのか?」との質問には、「彼らには異なる目的がある。ロシアを弱らせることで、この過程でそれを望んでいる。ロシアに問題を起こし、政権交代の夢が実現するのを」と語った。

テロリストグループや独裁政権に兵器を売りさばき、世界各地で紛争に関与したブート氏は「死の商人」の愛称で知られ、2005年の映画「ロード・オブ・ウォー」でニコラス・ケイジ扮する武器商人のモデルにもなった。おとり捜査によってタイで拘束され、2010年に米国に身柄が引き渡された。翌年、米国人の殺害を共謀した罪や、外国のテロ組織に指定された集団に物理的な支援提供を計画したなどの罪で有罪となり、連邦刑務所に収監された。

帰国後、極右政党「ロシア自由民主党」に加わっており、立候補するとの観測も流れている。