潜水艇「タイタン」事故 コスト削減策が悲劇招いた可能性

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フォッケ氏はまた、タイタンの船体が一般的な球体ではなく、チューブ型だったことも「壊滅的な故障」を招いた可能性があると指摘した。

タイタニック号の眠る水深約3800mでは、船体の表面一平方インチに3トンの圧力がかかるという。球状の船体は応力を均等に分散するため、圧縮力に耐えるのに適した形状とされ、それ以外の形状は、不均一に変形する傾向があるという。先述のアルビン号の船体が球状で、搭乗人数が3人であるのに対して、タイタンでは5人が同時に搭乗できる。

タイタンでは、チューブ型のカーボン・ファイバーの両端にチタン製の半球が接合されているが、専門家らは、この異種材料の結合部分にも設計上の懸念を示した。

深海の圧力のもとでは、カーボン・ファイバーの直径はチタンよりも早く圧縮されるという。

さらに、水分や海塩が接合部分の接着剤を劣化させ、潜在的な弱点を作り出した可能性、覗き窓のアクリルとチタンの接合部が破損した可能性を指摘する声も上がっている。

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ほとんどの潜水艇は、コストをかけて、安全性を証明する専門機関による検査と試験を受けるが、オーシャンゲートのストックトン・ラッシュCEOは「業界標準がイノベーションを阻害する」として、取得していなかった。ラッシュ氏は昨年、YouTubeのチャンネルで、「私は革新者として名を残したい。マッカーサー将軍は、ルールを破ったことで記憶に残ると言っていたと思う」と信条を語っていた。「これを造るのに一部のルールを破った。私のロジックと優れたエンジニアリングを背景にルールを破った。カーボンファイバーとチタン。それをやらないルールがあるが、私はやった」と述べていた。

コスト面については昨年、CBSニュースの記者から収益性を聞かれた際、「まだ(収益化)できていない。みんなは25万ドルが高いというけれど、我々は100万ドル以上を注ぎ込んでいる」と語っていた。

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