地下鉄ミュージシャンの逮捕に非難殺到

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マンハッタンの地下鉄で演奏するパフォーマーをニューヨーク市警察が逮捕する様子を撮影した動画が、ネットで拡散され、批判が殺到している。

踊るぬいぐるみに囲まれながら、サックスを奏でる地下鉄ミュージシャンJazz Ajiloさんは23日午後10時半ごろ、34ストリート・ヘラルドスクエア駅で警察官に拘束された。

Ajiloさんが自身のYouTubeチャンネルに投稿した動画には、言葉をかわしたのち、警官らに腕をつかまれ、拘束される様子が撮影されている。

「助けてくれ!助けてくれ!なぜ私を逮捕するのか?」「何をしたっていうんだ?私はミュージシャンだ。私には自閉症の子どもが4人いる」と大声をあげて抵抗するAjiloさんを、5人の警官が上から押さえ込み、手錠をかけた。

Ajiloさんは動画のコメント欄で、ヘラルドスクエア駅で5年間演奏してきたと説明。警官はいつも演奏する様子を見ており、中には応援してくれる警官もいたと記した。手錠をかけられた際にケガしたといい、「気分が落ち込んでおり、体も痛い」と明かした。没収されたサックスとぬいぐるみは返却されたものの、「壊れて、不完全な状態」だったという。自閉症の子供4人を育てるために苦労している地下鉄のミュージシャンを、一晩拘束したうえ、4枚の違反キップを切ったと警官の対応を非難した。

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これに対しユーザーからは、体を気遣う声に加え、「ビデオを見て不快に思った。彼に正義を」「彼は標的にされた」「安全かつハッピー、ただ人々を楽しませている害のない人物を逮捕した」と警察を非難するコメントが数多く寄せられている。また「銃撃や強盗など必要な時にいない」「これぐらいの意気込みで、学校の銃撃犯を取り締まってくれればいいのに」など皮肉のコメントも投稿されている。

市長は警察の対応を擁護

ニューヨーク市警察の報道官はニューヨークポスト紙に対し、地下鉄の利用客から「歩行者を妨げ、音響再生装置を使用している」という苦情が寄せられたため、その場を去るよう命じたと理由を説明。複数回にわたり警告したが、立ち退くのを拒否した上、身分証明書の提示を拒んだことから「すべての選択肢がなくなった後」に拘束したと話した。

同紙によると、警官はAjiloさんに対し、歩行者の妨害や公共交通機関での物乞い、治安びん乱行為など4つの規則違反で、裁判所への出頭を命じたという。

なお地下鉄の規則では、サービスや歩行者の通行の妨げにならない限り 、芸術的なパフォーマンスは許可されている。

地元テレビ局Fox5ニュースに出演したエリック・アダムス市長は、ミュージシャンの拘束について尋ねられると、「彼らの行動を誇りに思う」と警官の対応を擁護した。

「ルールには従わなければならない。これまで誰も従ってこなかったから、今のような状況になった」と主張。警官は「忍耐強く接し、強引な手段を取っていない」「正しい行動だった」と述べたうえ、演奏家については、警官の指示を「無視したうえ、暴れて、注目を集めるために大声を出した」と話した。

なおAjiloさんはGoFundMeに、弁護士費用や収入の損失を補うためのキャンペーンページを開設。約5,000人の寄付者から、10万ドル(約1,350万円)以上が集まっている。