スパイクリー監督最新作『ブラック・クランズマン』カンヌ映画祭で上映。大統領を強く非難

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人種差別を描いたブラックコメディ、スパイク・リー(Spike Lee)監督の最新作ブラック・クランズマン』(BlacKkKlansman)がカンヌ国際映画祭でプレミア上映され、観客からスタンディングオベーションを受けた。

作品は、1979年の実話に基づいた物語で、デンゼル・ワシントンの息子、ジョン・デイヴィッド・ワシントン(John David Washington)演じる黒人警官のジョン・ストールワース(Ron Stallworth)と、アダム・サンドラー (Adam Driver) 演じるユダヤ人の刑事が共に、極右派の白人至上主義団体Ku Klux Klan(クークラックスクラン)の集団を潜入捜査する物語。「ゲット・アウト」(Get Out)の監督、ジョーダン・ピール(Jordan Peele)が製作を務めた。

会見で大統領の対応を強く非難

昨年バージニア州シャーロッツビル(Charlottesville)で起こったネオナチや白人至上主義団体と反対派との衝突事件について言及した。この事件では、反対派に車が突っ込み1名が死亡している

リー監督は、事件発生後、トランプ大統領が白人至上主義団体ではなく、両サイドを非難したことについて「決定的な瞬間だった。」とし、ヘイトではなく愛について述べるべきだったと、怒りを込めた強い口調で非難した。

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映画のエンディングには、シャーロッツビルの車が抗議グループに向かって暴走するフッテージと、トランプ大統領の事件への反応が流れる。アメリカの国旗が逆さになり、白黒の画面でフェイドアウトする。

事件の映像の使用にあたり、リー監督は、シャーロッツビルの事件で亡くなったヘザー・ハイヤー(Heather Heyer)さんの母親に連絡したという。母親の許可なしに映像を使用することはできなかったとし、この事件を「酷い、酷い、酷い、アメリカの汚点だ。」と述べた。

また、各国から集まったメディアに対して、人種差別主義は、アメリカ特有の問題ではないと繰り返し強調した。
「右派は、アメリカだけではなく、世界中にいる。我々は目を覚まさなければならない」とし、「私たちは沈黙してはならない。黒人、白人、有色人種ではなく、全員に関わることだ。私たちはみなこの惑星に住んでいおり、ホワイトハウスの男は、核のボタンを持っているんだ。私は、このことを毎晩寝る前に考える。」とし、これはドラマではなく現実であり、この映画は私にとって「ウェイクアップコール」だと述べた。

配給元のフォーカス・フィーチャーズ(Focus Features)は、米国での公開日をシャーロッツビルの事件発生から1年後にあたる、8月10日を予定している。

カンヌで上映された映画は、観客から6分間のスタンディングオベーションを受けた。