経歴詐称の新米議員 「あのジェスチャー」が炎上

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経歴詐称が発覚し物議を醸しつつも今月正式に下院議員に就任したジョージ・サントス氏(共和党・ニューヨーク州選出)が、生中継中に差別主義を象徴するサインを送ったとして、またしても炎上している。

サントス氏は3日から始まった下院議長選に下院議員の一人として参加。計15回行われた投票では一貫して本命であるケビン・マッカーシー議員を推した。そうした中、10回目の投票が行われた5日、名前を呼ばれたサントス氏が、左手にさりげなく「OK」サインを作る姿が、テレビカメラや写真にとらえられた。

OKサインは、「同意」を示すジェスチャーとして一般的だが、近年、白人至上主義者らの間で、中指、薬指、小指の3本を「W」、輪を作る親指と人差し指を指の付け根も含めて「P」に見立て、「White Power」のシンボルとして使用されるようになった。2019年3月に、ニュージーランドのモスクで銃乱射事件を起こしたブレントン・タラント被告が、入廷の際にカメラに向かってOKサインを送り広く報じられたほか、反差別を訴える団体「名誉棄損防止連盟(ADL)」は同年、これを差別の象徴として正式に同団体のデータベースに登録した。

2016年大統領選でトランプ氏が勝利した夜、トランプホテルの前でOKサインをするオルタナ右翼の活動家、リチャード・B・スペンサー氏

SNS上ではサントス氏のジェスチャーに気づいたユーザーの反応が相次いで寄せられ、非難のほか、「ジョージ・サントスの広報にコメントを求めたが、返答はなかった」とするジャーナリストの報告。そして「“僕はいつも自分は白人至上主義者じゃないことをジョークのネタにしている。僕は白人至上主義者っぽいだけだ”ージョージ・サントス」と、サントス氏がユダヤ系だと嘘をついたことに「自分はユダヤっぽい(Jew-ish)」と言っただけ、と弁解したことをもじって笑い飛ばす投稿もあった。

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7日にはサントス氏と同じニューヨーク選出の若手下院議員、リッチー・トーレス氏(民主党)がMSNBCのインタビューでサントス氏についてコメントを求められ、「完全な恥さらし」だと強く非難した。

トーレス氏は「ジョージ・サントスはラテン系と黒人だけでなく、白人でもあるらしい」と皮肉ったうえで、「彼は完全な恥さらしだ。議員であるべきではない。議事堂に座らせ、宣誓させることは議会の尊厳を落とす」と酷評。さらに、サントス氏は共和党が抱える問題そのものだとも語り、「政党がドナルド・トランプにハイジャックされれば、ジョージ・サントスのような極右のペテン師が現れるのは必然だ。ジョージ・サントスのスキャンダルは、腐敗したトランピアン(トランプ支持者)や極右派が共和党の根幹にあることの延長線上にある」と、共和党批判を繰り広げた。

サントス氏をめぐっては経歴詐称のほか、母親が米同時多発テロの犠牲者だと極めて疑わしい主張をしたり、選挙資金や保有資産についても虚偽の報告をしたりと疑惑が重なり、連邦および州当局が刑事捜査に乗り出している。

サントス氏には議会内部からも辞任を求める声が高まっているが、情報筋によると、同氏は火消しのため、トランプ氏を支持派の共和党勢力「MAGA」のフィクサーとして知られる政治工作員、ビシュワナグ・“ビッシュ”・ブラ氏を雇ったとも伝えられる。ブラ氏はトランプ氏に近いスティーブ・バノン元首席戦略官や、実業家のカール・パラディーノ氏とのつながりが深く、トランプ氏支持派のマット・ゲイツ下院議員(共和党・フロリダ州選出)の勧めでサントス氏のチームに加わったという。