経歴詐称はもはやネタ?あの新米議員のNASA監督にネットで大喜利

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経歴詐称問題で大炎上し当局の捜査を受けている新米議員、ジョージ・サントス米下院議員(共和党・ニューヨーク州選出)が、下院の常任委員会の委員に任命された。ネットでは批判を通り越して、ジョークが飛び交う盛り上がりを見せている。

サントス議員が委員に就任したのは、米航空宇宙局(NASA)などを監督する科学・宇宙・技術委員会と、民間中小企業の保護や支援策の検討にあたる中小企業委員会の2つ。共和党下院トップのマッカーシー下院議長は、詐欺疑惑の渦中にいるサントス議員が委員会の役職を得ることについて、従来の「手順」に倣ったと説明した。

2つの委員会の中でもとりわけ科学・宇宙・技術委員会は、エネルギー、宇宙、航空、環境、海事に関する重要な調査や開発、エネルギー技術の民間利用、重量や数値、メートル法の標準化など、扱う分野が多岐に渡る。監督する政府機関にはNASAのほか、米国立標準技術研究所(NIST)、米国立科学財団(NSF)、米国立気象局(NWS)なども含まれることから、国家安全保障が危険にさらされると指摘する声も一部で出ている。

同委員会への参加はサントス議員自らが希望したもので、先週にはメディアのインタビューで、実現すれば「馬車馬のように働く」と宣言していた。

中小企業委員会では、今会期から委員長に就任した共和党のロジャー・ウィリアムズ議員が、サントス議員の参加を歓迎。「彼は100万人を代表している」と期待を示した。なお、最新の米国勢調査ではサントス議員が選出されたニューヨーク州第3選挙区の人口は100万人ではなく74万6000人。

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もはや本名さえ定かでないとの噂が出回る始末のサントス議員の常任委員就任をめぐり、ネットは大喜利状態に。特にライバルの民主党関係者からは同議員の虚言を踏まえた手厳しいジョークが続々と上がった。

リベラル系政治行動委員会MeidasTouchはツイッターで、「最初に月面に着陸した男、ジョージ・サントスを、共和党は科学・宇宙・技術委員会と中小企業委員会に入れた。残念なことに、この文の後半部分は本当だ」とコメントし、宇宙服を着たサントス議員の加工画像を添えた。

民主党下院のショーン・カステン議員は、「ノーベル賞物理学者兼宇宙飛行士が科学・宇宙・技術委員会に参加するなんて、とても楽しみだ」と皮肉った。元米海軍大佐で、本物のNASAの元宇宙飛行士でもあるスコット・ケリー氏も「NASAの元宇宙飛行士でムーンウォーカーで連邦議員のジョージ・サントスが、科学・宇宙・技術委員会に。無限の彼方へ!」と、トイ・ストーリーのバズ・ライトイヤーの決め台詞を添えた。ケリー氏の双子の兄、マーク・ケリー氏は、弟と同じく元宇宙飛行士で、現役の連邦上院議員でもある。

身内の共和党に近い立場からも、嘲笑が上がった。元連邦検事で元共和党員の弁護士、ロン・フィリプコウスキー氏は、安全保障に関わる分野をサントス議員に任せることを皮肉り「我々はジョージ・サントスに科学・宇宙・技術委員会が管理する情報を扱ってもらいたいのだ」とツイート。共和党の政治行動委員会リンカーン・プロジェクト創設者のひとり、リック・ウィルソン氏も「同委員会は、ノーベル物理学賞受賞経験のある最初の委員としてドクター・ジョージ・サントスを迎えられて、さぞありがたいことだろう」と揶揄した。

有識者も皮肉めいたジョークを飛ばした。作家で人権活動家のリア・マケルラス氏は「サントスが科学・宇宙・技術委員として米国の機密情報に接することは、完全にクールで全く心配なんかじゃない」とツイート。歴史学者のマイケル・ベスチロス氏は「サントスが、科学の学士号を持っていると言い出さないことを願う」とコメントした。

民主党のドン・ベイヤー議員の副補佐官、アーロン・フリッシュナー氏は先週、サントス議員が同委員会の参加に興味を示した時点で、「サントスが委員会加入に自信を持っている件について。同委員会に長年参加する議員の広報として、彼の元宇宙飛行士兼元バイオメディカルリサーチャー兼元ノーベル賞原子物理学者としての経験から恩恵を被れると思う」と皮肉っていた。