経歴詐称の新米議員のスキャンダルが止まらない、元勤務先にポンジスキームの疑い

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米金融大手のゴールドマン・サックスやシティ・グループで働いたなどと経歴を偽ったことが報じられて以来、過去の虚偽発言などが続々と発覚しているジョージ・サントス連邦下院議員(共和党・ニューヨーク選出)。このほど新たに、投資詐欺の疑いがある会社でファンドマネージャーを務め「15億ドルを運用している」などと語っていたことが、CNNの報道で明らかになった。

CNNは13日、アンドリュー・カジンスキー記者とエム・ステック記者の連名で調査記事を発表。記事によると、サントス氏が2020年から2021年までファンドマネージャーとして働いていた投資会社『ハーバーシティー・キャピタル』は、“典型的なポンジ・スキーム”による詐欺の疑いで2021年4月に米公正委員会取引(SEC)に告発されたという。ポンジ・スキームは、投資家から出資を受けた資金を実際には運用せず、別の出資者に配当金などとして渡す行為を繰り返すことで、資金運用をしているように見せかける詐欺行為。投資詐欺の典型的な手口とされる。なお、告発状にサントス氏の個人名は上がっていない。

カジンスキー記者は記事をツイッターでシェアし、それに添えたコメントで「ジョージ・サントスは1年以上働いた会社で『ポンジ・スキーム』による詐欺が行われていたことを知らなかったと言った。しかし、削除済みのツイートで、サントス氏は詐欺の疑いを指摘してきた相手に対し“100(%)正当だ”と会社を擁護した」とコメントを添えた。

カジンスキー記者はさらにサントス氏の2020年当時の動画をシェア。動画でサントス氏は「今、私はハーバーシティ・キャピタルで15億ドル(約1900億円)の資金を運用している。うまい運用の仕方を私は知ってる」と自信たっぷりに話し、「私は毎年12%の利息をもたらすことができる。市場では4(%)も得られないが、私たちなら12(%)だ」「投資資産の20~26%の内部収益率(IRR)も実現できる。どうやって資産を処理・運用し、増やしていくか私はよく知っている」と、高いリターンが得られるとアピールしている。

カジンスキー記者は続けて、あるツイッターユーザーとサントス氏とのツイートのやりとりが記されたスクリーンショットもシェア。画像からは、2020年4月、母方の姓を使いジョージ・デボルダーを名乗ったサントス氏がツイートで「元金は各大手金融機関のスタンドバイ信用状(SBLC)によって100%保証される」とユーザーに投資を促す様子が確認できる。

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SBLCは会社がデフォルトに陥った場合に顧客の元本を提携先の銀行が保証するための証明書だが、スクショ画像によると、サントス氏のツイートから約2か月後、ユーザーから返信で「ハーバーシティから私が受け取ったSBLCを調べてもらった。ドイツ銀行からは、完全な偽物で銀行は書類に署名していないと返事がきたけど、どういうこと?」と指摘された。これに対しサントス氏は、「あなたの言っていることが分からない」とごまかし、やりとりの続きを個人メールで行うよう促した上で、「我々のSBLCは100%本物です」と強調した。なお、このツイートのやりとりは現在は削除されている。

ハーバーシティ・キャピタルはすでに営業を停止。SECの告発状によると、同社がSBLCを発行したことは一度もないという。また、ドイツ銀行の広報担当、ディラン・リドル氏もCNNの取材に対し、「ハーバーシティ・キャピタルはドイツ銀行のクライアントではない」と返答している。

サントス氏をめぐっては、相次ぐ虚偽発言を受けて議会与野党から辞任を求める声も多いが、共和党下院トップのマッカーシー下院議長は今のところサントス氏の議員継続を支持している。