「アルマゲドン将軍」の異名を持つロシアの航空宇宙軍司令官、セルゲイ・スロヴィキン大将が、先週の土曜日(24日)以来公の場に姿を現していないという。逮捕された可能性も報じられている。
今年1月までロシア軍のウクライナ侵攻を率いたスロヴィキン氏は、先週24日、ロシア南部の軍事施設を占拠し、モスクワに部隊を進軍させた民間軍事会社「ワグネル・グループ」の創設者エフゲニー・プリゴジン氏に、反乱を止めるよう呼びかけていた。
The Deputy Commander of the Joint Group of Forces General of the Army Sergei Surovikin to the leadership, commanders and fighters of the Wagner PMC
— Urantian Lady (@UrantianL) June 24, 2023
▫️’I have just come from the frontline, where our troops, our commanders, our soldiers, our fighters, volunteers are carrying out… pic.twitter.com/A44Bia9qpB
「ワグネルPMCの指導者、指揮官、ファイターたちに訴える。あなた方とともに、われわれは困難で厳しい道を歩んできた。ともに戦い、危険を冒し、損失を被り、ともに勝利してきた。われわれは同じ血を受け継いだ戦士だ。あなた方に立ち止まるよう呼びかける。敵は国内の政治状況が悪化するのを待っている。国にとって困難な時期に、敵の手に乗ってはならない」。
反乱計画を事前に把握か
この一方で、ニューヨークタイムズは、米諜報機関から説明を受けた政府高官の話として、スロヴィキン氏が、プリゴジン氏の反乱計画を事前に知っていた可能性があると伝えた。政府高官はさらに、スロヴィキン氏が反乱を助けた可能性についても、現在確認を試みているという。
二人は良好な関係として知られ、昨年10月にスロヴィキン氏がウクライナ侵攻の総司令官に任命された際、プリゴジン氏は「伝説的な人物」「祖国に仕えるために生まれてきた」など称賛していた。プリゴジン氏が任命を働きかけたとの憶測もあった。
キングス・カレッジ・ロンドンの名誉教授で、戦争研究が専門のローレンス・フリードマン氏は英紙ガーディアンに、ビデオメッセージを公開した際、スロヴィキン氏は、プリゴジン氏が軍事施設を占拠したロストフナドヌにいた可能性があると指摘している。
逮捕報道
モスクワタイムズは28日、ロシア国防省に近い情報筋の話として、スロヴィキン氏が拘束されたと報じた。情報筋は「彼の状況は良くない。当局にとっては。それ以上は言えない」と話したという。
この一方、ロシアのミリタリーブロガー、ウラジーミル・ロマノフ氏はテレグラムの投稿で、スロヴィキン氏はすでに25日に連行されたと主張している。
プリゴジン氏は24日、ベラルーシのルカシェンコ大統領の仲介で、同国への安全な亡命と引き換えに、進軍の停止に合意。プーチン氏の国内支配にとって最大の脅威となった反乱は1日で幕を閉じた。