イスラエルにシリアとイラン介入なら米国は「戦争する」、米退役陸軍大将

55

MSNBCの軍事アナリストを務めるバリー・マカフリー退役陸軍大将は、イスラエルとハマスの衝突に周辺国が介入した場合、米国は「戦争をする」と語った

7日、パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスはイスラエルに大規模な攻撃を実施した。これに対してイスラエル国防軍はガザ地区への空爆を行なうなど報復を開始。イスラエルのネタニヤフ首相は「われわれは戦争状態にあり、必ず勝利する」と宣言した。パレスチナとイスラエル双方の死者数はこれまでに1,300人を超えていると伝えられている。

オースティン米国防長官は8日、「抑止体制を強化する」として空母打撃群を東地中海に派遣する計画を発表した。これには海軍の航空母艦ジェラルド・R・フォード、タイコンデロガ級誘導ミサイル巡洋艦ノーマンディー、アーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦トーマス・ハドナー、ラメージ、カーニー、ルーズベルトが含まれるとした。さらに、同地域における空軍のF-35、F-15、F-16、およびA-10戦闘機部隊を増強する措置も取っているとしたほか、米政府はイスラエル国防軍に追加の装備、資源、弾薬を提供すると述べた。

USNI Newsの追跡によると、空母打撃群は先週、イタリア近くの地中海での活動が確認されている。

マカフリー氏は、配備は武力の誇示または、非戦闘員を非難させる可能性に備えたものと述べる一方で、「シリアの軍事介入とイランの積極的な介入が認められるならば、われわれは戦争をする」と語った。

Advertisement

番組司会から情報ソースの明確化を求められると、政府関係者によるものではないとした上で、「イスラエルが国家存亡の機に瀕し、シリアが軍事介入し、ヒズボラがイスラエルを圧倒しはじめるならば、私の判断では、米国はその時点で空海の軍事力をともなう積極的な介入を検討する」と話した。

人質を救出するために地上部隊をガザに投入する可能性について聞かれると、「装甲車と歩兵を使った大規模な介入」によって「地上を制圧して、トンネルや牢屋から見つけ出さなければならない」と述べ、一般市民に「血みどろの惨事」と壊滅的なダメージをもたらすと説明。不可能との見解を示した。種子島ほどの面積に200万人が暮らすガザは、世界で最も人口密度が高い地域とされる。

イスラエルに侵入したハマスの戦闘員らは、数十人の人質をガザに連れ帰り拘束しているとみられている。これまで、ガザ国境近くで開催されていた音楽フェスティバルの参加者が連れ去られる様子などが報じられている。イスラエル駐米大使は、人質の中にアメリカ人が含まれているとの見解を明らかにしている。

マカフリー氏は、エジプトの動きにも懸念を表明。「昨日非常に敵対的な声明を出した。つまり、ガザで不当な犠牲者を出すならば、対抗措置を検討すると言っている」と指摘した。ロイター通信によると、エジプト外務省はイスラエルとパレスチナ間の緊張激化が「重大な結果」を招くと警告。「最大限の自制」に務め、民間人をさらなる危険にさらすことを避けるよう求めた。

イランの関与について、米ウォール・ストリート・ジャーナルはヒズボラの幹部の話として、レバノンのベイルートで2日に開かれた会合でイラン治安当局者が攻撃を承認したと伝えた。ただし、ブリンケン米国務長官は8日のCNNの報道番組のインタビューで、イランの関与を示す証拠は今のところ見つかっていないとしている。