第90回アカデミー賞授賞式の視聴者数は過去最低に

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4日、ロサンゼルスで開催された第90回アカデミー賞授賞式の視聴者数は、昨年より19%減少し、2,650万人となり、過去最低を記録した。
ハリウッドレポーターによると、ABCで3時間50分にわたり放映された番組は、アカデミー史上2番目に低い視聴者数を記録した昨年の3,290万人を下回り、過去最低となった。
これまでに史上最低の視聴者を記録したアカデミー賞は、2008年のジョン・スチュワート(Jon Stewart)が司会を務めた回で、3,180万人となっている。今回はその人数を500万人も下回る結果となった。

今年は政治色は控えめ

今年は、映画業界におけるセクシャルハラスメントの蔓延や、移民問題、LGBTライツ、ジェンダーダイバーシティなどが主なトピックとなった。

2年連続で司会を務めたジミー・キンメル(Jimmy Kimmel)は、オープニングモノローグで、「Me Too」や「Time’s Up」のセクハラ防止ムーブメントや、フロリダ高校での銃乱射事件を受け、銃規制を訴える「Never again」について触れた。また、ハリウッドは女性に関して、あまりに無知であると述べた。

「スリー・ビルボード」で主演女優賞を受賞したフランシス・マクドーマンド(Frances McDormand)は、女性の候補者が少ないことを指摘。ダイバーシティを推奨する盛り込む契約条件「インクルージョン・ライダー」(Inclusion Rider)という言葉を壇上で残し、話題となっている。

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また、「シェイプ・オブ・ウォーター」(The Shape of Water)で、作品賞と監督賞を受賞したギレルモ・デル・トロ(Guillermo del Toro)監督は、自らがメキシコからの移民であり、映画業界は国境を超えて仕事ができることや、夢は実現できると次世代の人々にエールを送った。「ゲット・アウト」(Get Out)で監督・脚本を務めたジョーダン・ピール(Jordan Peele)は、アフリカ系アメリカ人として初めて脚本賞の受賞を果たすなど、マイノリティーの躍進も見られた。

アカデミー賞のプロデューサー、マイケル・デ・ルカ(Michael De Luca)氏は、今回のアカデミー賞授賞式のトーンに関して「(司会の)キンメルは、政治について突っ込むだろうが、視聴者を偏らせるような発言は避けるだろう。尖った内容にはならない」とUSA Todayに対して予め宣言するなど、保守系支持者への配慮と思われる発言も見られたが、セレブを中心としたリベラル派のショーは見たくないというコメントも寄せられている。

興行成績の低い作品がノミネート

視聴者が減少した原因の一つとして、アナリストの一人は、興行成績が低い作品が数多くノミネートされたことを挙げている。
今年アカデミー作品賞を受賞した「シェイプ・オブ・ウォーター」は国内で5,700万ドル、「スリーボード」は5,200万ドルの興行成績にとどまっている。

アカデミー賞だけでなく、グラミー賞の視聴者は24%減の1,980万人、ゴールデングローブ賞は5%減の1,900万人となっている。
また、またアメフトの全米一を決定するスーパーボウルも視聴者が減るなど、すべての大型イベントの視聴者は減る傾向にあるとしている。

トランプ大統領も言及

今回発表された史上最低の視聴率を受け、トランプ大統領はツイートで皮肉を述べた。
「史上最低の視聴率のオスカー。問題は、スターがもういないってことーあなた方の大統領以外にね(冗談だけど)!」

このツイートに対して、ホスト役のジミー・キンメルは、「ありがとう。史上最低の支持率の大統領。」とお返しのツイートを行った。
深夜のトークショーで、トランプ政権に対する批判的なジョークを展開することで知られるジミー・キンメル。舌戦はまだまだ続きそうだ。

第90回アカデミー賞 受賞結果一覧