今度はザ・スミス、トランプ集会の楽曲使用に抗議。ミュージシャンは阻止できる?

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トランプ前大統領に楽曲の使用停止を求めるミュージシャンに、新たにザ・スミスのギタリスト、ジョニー・マーが加わった。

23日、トランプ氏の選挙集会で「Please, Please, Please, Let Me Get What I Want」が流れる様子がXにシェアされると、マーは「こんなことに直面するなんて夢にも思わなかった」とコメント。「このクソッタレを今すぐやめさせることを検討する」と投稿した。

動画は、昨年9月にサウスダコタ州で開催されたトランプ集会のものだが、ジャーナリストのベン・ジェイコブスは22日、ニューハンプシャー州の都市ラコニアで開かれた集会でも使用されていると報告していた。

トランプ氏のイベントをめぐっては、これまでにも数多くのミュージシャンが、楽曲の使用に不満や停止を訴えている。

2015年9月、首都ワシントンのイベントで、トランプ氏の登壇時のバックグラウンドに「It’s the End Of The World As We Know It (And I Feel Fine)」が使用されたことを知ったR.E.Mのヴォーカル、マイケル・スタイプは、当時デイリービーストに対して、「くたばれ、注目集めと権力に飢えた惨めな小男ども」とコメント。「われわれの音楽やボイスを、お前たちの愚かなキャンペーンに使用するな」と停止を求めた。

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ベーシストのマイク・ミルズも「個人的には、オレンジピエロは注目を引くためならなんでもすると思う。彼にそれを渡すのは嫌だ」と不快感を示した。

2020年にも、トランプ陣営はミルウォーキーの選挙集会で「Everybody Hurts」と「Losing My Religion」を使用。ミルズはSNSに「これを阻止するためにあらゆる法的手段を模索する」と提訴する構えを示した。

2016年の夏、予備選を勝ち抜いたトランプ氏は、共和党全国大会でクイーンの「ウィー・アー・ザ・チャンピオンズ」に合わせてステージに登場したが、これにギタリストのブライアン・メイは、自身のウェブサイトを通じて「使用許可を求められておらず、認めてもいない」と指摘。継続利用をやめさせるために「どのような措置が可能か、助言を受けている」と、法的措置の可能性をほのめかした。

このほかにもニール・ヤングやローリング・ストーンズ、エアロスミス、ガンズ・アンド・ローゼス、エルトン・ジョン、ブルース・スプリングスティーン、リアーナなど、トランプ氏の楽曲使用に反対したアーティストは枚挙にいとまがない。

一方、なかには使用を快諾するミュージシャンもいる。

カントリーシンガーのリー・グリーンウッドは、2017年の大統領就任式で代表曲「ゴッド・ブレス・ザ・USA」を熱唱。選挙集会ではトランプ氏の登場曲として、定番になっている。

オバマ氏の就任式でパフォーマンスを行ったキッド・ロックも、トランプ氏の親密なサポーターとして知られている。2008年のヒット曲「オール・サマー・ロング」は、トランプ集会を盛り上げる定番ソングとなっている。トランプ氏からの信頼も厚く、2022年放送のタッカー・カールソンのインタビューで、ISISと北朝鮮の対応をめぐって、トランプ氏からアドバイスを求められたことがあると明かしている

ピッチフォークによると、選挙キャンペーンのような組織は、レストランやバーなどと同様に「米国作曲家作詞家出版者協会(ASCAP )」や「放送音楽協会(BMI)」といった権利管理団体を通じて演奏ライセンスを取得している。契約に準じている限り著作権侵害の申し立てから保護される。

ならばミュージシャンが止めさせる手立てがないのかというと、そうではない。政治組織との契約には、アーティストが使用に反対した場合、特定の楽曲を除外できる条項が含まれているという。また、ASCAPによると、楽曲の使用に際して、アーティストが候補者を支持していると誤解を与える可能性が高い場合、候補者は連邦商標法に基づいて提訴される危険があるとしている。