エプスタインの性的暴行被害者、相続人とギレーヌ・マックスウェル氏らを提訴

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故ジェフリー・エプスタイン被告による性的暴行の被害者、ジェニファー・アラオズ(Jennifer Araoz)さん(32)は14日、エプスタイン氏の相続人および、エプスタイン氏と共謀を働いたとして、英国のソーシャライツ、ギレーヌ・マックスウェル(Ghislaine Maxwell)氏(57)、匿名の3人をニューヨーク郡地方裁判所に提訴した

エプスタイン被告は10日、マンハッタンの拘置所内で自殺を図り死亡した。原告は、マックスウェル氏と3人の女性(リクルーター、秘書、お手伝い)について、エプスタイン氏に協力し、組織的に共謀を図ったとして訴えた。

マックスウェル氏は、英国のメディア王ロバート・マックスウェル(Robert Maxwell)氏の末娘。エプスタイン氏の元恋人と報道されている。
エプスタイン氏の性的搾取を目的とした人身取引に協力していたとして、複数の被害者が告発している。先週、ニューヨーク州連邦控訴裁判所が公開した2017年の裁判資料では、被害者で原告のヴァージニア・ロバーツ・ジュフレ(Virginia Roberts Giuffre)さんが、マックスウェル氏の関与を示す証言を行っている。マックスウェル氏は一貫して関与を否定している。

アラオズさんは2002年、アッパーイーストサイドにあるエプスタイン氏の自宅マンションで性的暴行を受けたとして、先月10日のNBC朝のニュース番組「トゥデイ」(Today)で告発を行った。番組内で告訴する意向を語っていた。

エプスタイン氏の自殺を受け、アラオズさんは、サバイバーと裁判所で対面する必要がなくなったとして、怒りを覚えたと声明を発表している。なお、裁きを受ける必要があると訴えた。

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ニューヨークタイムズに論説を投稿

アラオズさんは14日、ニューヨークタイムズに論説を投稿し、性的暴行事件の経緯と、今回の訴訟理由を述べている。

14歳の時、エプスタイン氏自宅付近のパフォーマンスアートスクールに通学している歳、路上でエプスタイン氏のリクルーターから声をかけられた。アラオズさんは父を亡くし、家族が生活保護を受給していたため、家計のためを思い、裕福なエプスタイン氏に会うことにしたという。
エプスタイン家に行く度、秘書から300ドルを手渡された。最初はギフトなどを受け取っていたが、エプスタイン氏からマッサージなどを求められ、要求は次第にエスカレートしていった。高校2年生の秋に性的暴行を受けたという。それ以来、マンションを訪れていない。
その後アラオズさんは学校を退学。歌手や女優になる夢を諦め、不安や罪悪感などに苛まれた。エプスタイン氏は1人で行動することはなく、アシスタントなど複数人で活動していたと明かしている。

アラオズさんは、エプスタイン氏の持つ財政力や影響力、重要人物とのコネクションなどの権力構造によって沈黙させられていたが、もう恐れておらず、今後それは変化するとしている。
今週13日から施行されたニューヨーク州の児童虐待法(The Child Victims Act)が、前進するための力となったとし、法を味方につけ、裁きを求めると述べた。

新たな児童虐待法では、虐待の被害者は、55歳までの誕生日までに民事訴訟で裁判所に訴えを起こすことができるようになり、これまでの23歳から大幅に年齢が引き上げられた。刑事事件の場合も、重罪は28歳まで、軽罪は25歳までに引き上げられた。