『アバター』監督、日本のイルカショーPRに激怒していた

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日本で行われた映画「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」の記者会見で、イルカを使ったプロモーションが行われた件について、ジェームズ・キャメロン監督は「はらわたが煮えくり返った」と振り返った。イルカショーは、自然環境の保護を訴える映画の趣旨に反するとして、動物愛護団体から監督を批判する声が相次いでいた。

イベントは今月10日、東京のマクセルアクアパーク品川で開催された。巨大なプールを前に舞台が設けられ、キャメロン監督のほか、キャストのゾーイ・サルダナ、シガニー・ウィーバー、サム・ワーシントン、スティーブン・ラング、プロデューサーのジョン・ランドーが登壇した。YouTubeには、映画の映像や音楽に合わせ、イルカが立ち泳ぎやジャンプする様子が投稿されている。

動物愛護団体PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)の米国上級副社長リサ・ラング氏は、水の中のパンドラの世界を世に送り出すための技術開発に13年の歳月をかけたにも関わらず、ほんの5分を使って、マリンパークの残酷さを擁護したように見られるという風には、考えなかったのだろうかと皮肉った。

ドルフィン・プロジェクトの創始者で、和歌山県太地町のイルカ漁を描いたドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」に出演したリック・オバリー氏は公開書簡で、監督とプロデューサー、キャスト全員がショーに拍手を送っているのを見て「完全に絶望し、裏切られた気分だった」と落胆を示した。さらに監督らを、自身のチームに加わるよう正式に招待すると宣言。日本でのイルカ漁や、調教の実態を説明すると述べ、知ったら「二度とイルカショーを称賛することはできないだろう」と述べた。

Yahooニュースによると、キャメロン氏はこれらの批判に対し、複数の環境活動家にメールで返信していた。

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監督の友人で海洋写真家のブライアン・スケリー氏が公開したメールの中でキャメロン氏は、1週間かけて、各国で宣伝ツアーを行なっており「文字通り1日20件から30件のインタビューを受けていた」と説明。東京のイベントに関して「イルカショーに関する言及は全くなかった」と、ステージで初めて知ったと明かした。

イルカを目にした際「マイクで、これをするのにイルカたちから同意を得てますよね、などと嫌味を言ったのを覚えている。はらわたが煮えくりかえった」と振り返りつつ、「おおごとにしたくなかった。今になって思えば、そうすべきだったかもしれない」と後悔を示した。しかし「私の直感は常に、相手に歩み寄ること」と説明し、「アバターの核心と同じ。意識を変化させることだ」と加えた。

Yahooによると、「ザ・コーブ」の監督ルイ・シホヨス氏にキャメロン監督が送ったメールでは、今回の責任について、ディズニーのプロモーターにあると主張しているという。映画の重要なメッセージは「クジラを救うことであり、共感を持って平等に扱うことだ」とした上で、「捕獲されたイルカのショーの前に立つという合意事項はなかった」と語っている。

なお、興行通信社によると、「アバター」続編は、日本では歴代最多の1,466スクリーンで公開されたが、公開3日間の興行収入は6億4,600万円で、初登場3位だった。Varietyは、一部の劇場で上映システムに不具合があり、払い戻しがあったとも伝えている。