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ケノーシャ銃撃事件 リッテンハウス被告に無罪評決 NYで抗議集会

ウィスコンシン州ケノーシャで昨年8月に起きた銃撃事件で、殺人罪などの罪で起訴されたカイル・リッテンハウス被告(18)の裁判で、陪審は19日、5つの罪状すべてで無罪評決を言い渡した。

リッテンハウス氏は、昨年8月25日、ケノーシャで抗議活動を行っていたプロテスターらを銃撃し、逮捕、起訴された。プロテストは、この2日前、現地で黒人男性が、警察官から銃撃された事件をきっかけに起きたもので、車両に火が放たれるなど、デモが過激化する様子が伝えられていた。

銃撃で、ジョセフ・ローゼンバウム氏(36)とアンソニー・フーバー氏(26)が死亡。ゲイジ・グロスクロイツ氏(28)が負傷した。

リッテンハウス氏は、殺人罪で有罪となれば、終身刑となる可能性があった。

事件は、発生直後から、両極に意見が大きく分かれ、裁判は、党派対立的な文脈で語られることが少なくなかった。

評決を受け、ウィスコンシン州のロン・ジョンソン上院議員(共和党)は「正義がなされたと思う」とツイート。「全員が評決を受け入れて、平和を維持し、ケノーシャの地域社会を癒し、再生させてやってほしい」と投稿した。

一方、米黒人地位向上協会のデリック・ジョンソン代表は声明で、評決を「茶番」と非難。「ケノーシャに出かけて、抗議者を挑発するという、リッテンハウス氏の判断は正当化できない」と述べ、「司法制度が、被告の人種によって異なる結果を生むという、これと同じ結末は何度も目にしてきた」と語った。

評決を受け、抗議活動が過激化する危険に備え、ウィスコンシン州のトニー・エバーズ知事は、500人の州兵をケノーシャに派遣した。

バイデン大統領は、記者団に「陪審の結論を支持する」と表明。「陪審制度が機能しており、これを遵守しなければならない」と話した。

リッテンハウス氏は事件の日、友人が自身のために違法に購入したAR-15ライフルを携えて、イリノイ州の自宅からケノーシャを訪れた。訪問目的について、弁護人は、スモールビジネスを略奪から守るためだったと説明した。銃撃は正当防衛だったとして、すべての罪状で無罪を主張していた。

一方、検察は、リッテンハウス氏はトラブルを求めてケノーシャを訪れたと主張。「自らが作り出した危険に対して、正当防衛を主張することはできない」と、法的に正当防衛は成立し得ないと訴えた。

死亡したフーバー氏の両親、ジョン・フーバー氏とカレン・ブルーム氏は声明で、「本日の評決は、私たちの息子を殺害した人物には責任がないということを意味するもの」と述べ、「武装した民間人が、街にやってきて、暴力を扇動した挙句、自ら作り出した危険を、人々を射殺する口実にできるという、受け入れることのできないメッセージを送ることになる」と語った。

2人は、ケノーシャ警察に訴えを起こしており、警察は「武装した個人に代理をさせて、共謀をはかり、武器を持って街をパトロールさせることで、彼らの行動に承認を与えた」と主張。息子の死に加担したと非難している。

無罪評決を受け、ニューヨークではブラック・ライブズ・マターの抗議集会が行われた。

午後7時頃、ブルックリンのバークレイズ・センターに、200人ほどが集合した。集団には、犠牲者の名前が書かれたプラカードのほか、「リッテンハウスは差別主義者の殺人鬼。人民の評決は有罪」「人種差別システムに正義なし」と、差別に反対を唱えるものや、「人種差別を伴わない資本主義はない」「資本主義がわれわれを殺している。革命こそが正義をもたらす」と、社会変革を訴える内容が書かれたサインを手にした人々が参加。一時間ほど抗議集会をした後、ブルックリンブリッジに向けて行進を行った。

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