ヘンリー王子とメーガン妃 投票呼びかけは王室離脱合意に違反?称号剥奪の議論も

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サセックス公爵夫妻による米大統領選挙に関する発言に関して、英王室側近は英タイムズ紙に、エリザベス女王との「メグジット」合意に「違反」しており、夫妻の女王との関係をさらに危うくする可能性があると語った。

ヘンリー王子とメーガン妃は先日、米タイム誌が選ぶ「今年の100人」のビデオメッセージで、選挙を前に「ヘイトスピーチや誤報、ネット上の悪を拒絶することが極めて重要だ」と主張。「われわれの人生において最も重要な選挙になる」と投票を呼びかけ、話題となった。発言は、一部でトランプ大統領への非難と受け止められた。

ビデオが公開された後、廷臣らは会議を開き、ヘンリー王子とメーガン妃夫妻から距離を置く方法について議論をしたという。

タイムズ紙によると、王室のメンバーは、政治的に中立であることになっており、3月に夫妻が王室から離脱し米国に移住する際、サセックス夫妻は「自分たちの全ての行動は、女王陛下の価値観を支持する」と約束していた。

王室側近は夫妻のコメントに関して、「王室は手をこまねいて」おり「女王の価値を支持しているのだろうか。王室は契約に違反していると感じている」と同紙に語った。

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王室内の議論に詳しい情報筋によると、ヘンリー王子は英国海兵隊やその他の軍の職に再び就きたいと希望しているものの、それも今では困難になりつつあるという。

サセックス家との取り決めについては、1年後にエリザベス女王、チャールズ皇太子、ウィリアム王子によって見直されることになっている。この取り決めの一環として、ヘンリー王子は英国海兵隊の総司令官を始めとする軍務から身を引いた。取り決めの話し合いに参加した政府関係者によると、女王は適切であると判断された場合にヘンリー王子が復帰できるよう、見直し期間中も役職を空席にしておくことに合意しているという。

軍務への復帰が許されなければ、「女王、英連邦、そして自身の軍との絆に奉仕し続ける」ことを優先事項の1つに掲げるヘンリー王子にとっては大きな痛手になるとタイムズ紙は指摘している。

称号剥奪の議論も

このほか、先週の廷臣会議では、サセックス夫妻の殿下・妃殿下としての称号の剥奪の是非にまで議論が及んだという。夫妻は現在も称号を保持してはいるが、使用は認められていない状態にある。関係筋によれば、エドワード8世が王位から退位した時でさえ、称号は保持していたのだから、ヘンリー王子に対してそのようなことはできないだろうというのが現時点での見方だが、いずれにしても王室はヘンリー王子とメーガン妃からもっと距離を置くべきだという意見が強いという。

エリザベス女王は、選挙での投票が許されていない唯一の王室メンバーで、他の王族は、慣習によって投票を控えている。しかし、アメリカ国民であるメーガン妃は、来たる大統領選挙で投票することを公言している。

バッキンガム宮殿は、今回のビデオメッセージにおけるサセックス夫妻の発言を「個人的な立場で」行ったことであるとし、一定の距離を保とうとしている。しかし王室の情報筋は同紙に、夫妻の発言は女王を困惑させたと述べ、「女王の孫とその妻が実質的にトランプ大統領に対する反対キャンペーンを行いながら、もしトランプ大統領が再選され、再びここを訪れることになったら、女王は何と言えばいいのでしょうか?」と語っている。

サセックス家の広報官は今回のビデオに関し、「公爵のメッセージは特定の政党や候補者について言及しているのではなく、我々の互いの関わり方に良識を求めるものだ」と説明している。

『君主制と憲法』の著者であるロンドン大学キングス・カレッジのボグダナー教授はサセックス夫妻を擁護している。「夫妻の唯一の制約は、君主を困惑させるような行動や発言をすべきではないということ。また、いかなる政党や党派的な発言もしてはならない」と述べつつ、「投票を求めることは党派的な発言ではなく、市民の参加を促すもの」と指摘。「公爵および公爵夫人のコメントは、憲法上の問題を提起するものではない」と見解を語っている。