気温上昇に伴いニューヨークでは、街や公園へと外出する人が増加している。気温が24℃に達した土曜日は、多くの人が屋外でピクニックやエクササイズなどを楽しむ様子が見られた。
全米で最も感染被害が大きいニューヨークでは、ソーシャル・ディスタンスを遵守させるため、これまでに様々な工夫を凝らしてきた。3月末にはバスケットボールのフープを撤去し、プレイグラウンドの使用を禁止。4月にはクオモ知事が、違反者への罰金を500ドルから1,000ドルへと引き上げ、公共の場でのマスク着用を義務付けた。
市内の公園には、1.8メートルの社会的距離を明示する標識が掲示されたほか、5月頭には、一部の車道を歩行者に開放する「オープン・ストリート」プログラムがスタートしている。
今週末よりセントラルパークのシープメドウや、ハドソンリバーパーク(Pier45、Pier46)ウィリアムズバーグのドミノパークでは、入場制限を開始。ドミノパークの芝生には、距離感覚を示すためのソーシャル・ディスタンスの輪が登場した。
各公園には、非警察部隊で構成される「ソーシャル・ディスタンス・アンバザダー」約2,600人を派遣。マスクを配布するなどの、啓発活動を行っている。
16日夜、アッパーイーストサイドでは、バーの前に椅子を並べて飲酒を楽しむ人が続出。州の規定により、アルコールのテイクアウトは許可されているが、ソーシャル・ディスタンスが遵守されていないとの通報が相次ぎ、警察官が解散させる出来事があった。NBCニューヨークが入手した映像では、警察官が違反者を道路にたたきつける様子が映っている。
なお、ソーシャル・ディスタンスの取り締まりに関しては、逮捕者に人種間の偏りが見られたことから、コロナ時代の「ストップ・アンド・フリスク」だと批判の声が高まった。現在は方針を改め、マスクの着用や少人数の集まりに関しては、取り締まりを行わないこととなった。
現在市が最も警戒しているのは、今週末のメモリアルデー恒例の海開きだ。ニュージャージー州がビーチをオープンする決定を行ったことに伴い、人々の州間移動を避けるため、近隣のコネチカット州、デラウェア州、ニューヨーク州も海開きを決定した。
しかしニューヨーク市では、デブラシオ市長は「パンデミックの震源地にいることを忘れてはならない。安全が最優先だ。」と述べ、市内のビーチはオープンしない方針を発表した。砂浜に入ることは許可しているが、海に入るなどの違反者が出た場合は、フェンスを設けると警告している。
なお、市長は7月4日のメイシーズ独立記念日花火大会の開催決定を明言している。