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米議員、ロシアの化学兵器使用はNATO介入の「レッドライン」

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、ロシアのウクライナ侵攻により、これまでに一般市民902人が死亡し、1,459人が負傷したと発表した。ただし、実際の犠牲者数は公式記録よりも「かなり多い」との見方を示した。犠牲者の大半は「重砲や多連装ロケットシステム、ミサイル、空爆など広範囲に影響を与える爆発性兵器による」ものとしている。

ウクライナ南東部の首都マリウポリでは20日、400人が避難していた美術学校が爆撃を受けたと伝えられた。この数日前には市内にある劇場が空爆を受けた。中には1,300人がいたとみられている。

キエフなど北部の都市で進軍が停滞しているとも伝えられているが、戦闘が長期化するにつれ、ロシア軍が化学兵器や生物兵器を使用する可能性について、懸念が高まっている。

バイデン政権は、この可能性を公に警告している。ロシア政府高官は、米国がウクライナで密かに違法な化学兵器の開発をしていると主張しており、これに対してホワイトハウスのサキ報道官は9日、ツイッターで「不当な攻撃を正当化しようとするロシアの策略」と非難。「ロシアが化学兵器または生物兵器を使用する可能性や、虚偽情報を使って偽旗作戦を実行する可能性を注視しなければならない」と警告した。

ロシアが化学兵器使用したら?

20日、NBCニュースの報道番組「Meet the Press」に出演したリズ・チェイニー下院議員(共和党 ワイオミング)は、化学兵器の使用は、NATO介入の「レッドライン」になると語った。

チェイニー議員は、化学兵器の使用は、NATOがなんらかの形でウクライナに介入するべきレッドラインかと聞かれ、「そうするべきだ」と回答。続けて「すべての選択肢を検討していることを明確にするべきで、化学兵器の使用は、われわれの計画を変えるものだ」と話した。「ロシアは、残虐行為を増すならば、米国はNATO同盟国とともに、あらゆる対応を検討することを理解しなければならない」と警告した。

同じく番組に出演したNATOのストルテンベルグ事務総長は、化学兵器が使用された場合の対応について、明確な回答を避けた。

ロシアが化学兵器を使用した場合、飛行禁止区域の設定を再考するかと聞かれたストルテンベルグ氏は、「同盟国はウクライナを支持しているが、同時に、われわれは、NATOとロシア間の本格的な戦争に発展するのを防ぐことが非常に重要だ」と回答。「われわれの主な責任は、NATO加盟30か国に住む10億人を守ることだ」と述べ、「東欧の同盟国における軍事プレゼンスを一層強めることで、これを実施している」と語った。

一方「この紛争がいかに終結するかにかかわらず、われわれは新たな現実、新たな安全保障の現実に直面していると考えている」と述べ、来週の緊急首脳会議では、新たな現実に「いかに長期的に適応するか、いかに抑止と防衛の再設定をするか」の協議を開始すると語った。

司会者から、化学兵器が使用された場合のNATOのスタンスは未決定のようだと問われると、「化学兵器の使用は、露骨で残忍な国際法違反」と述べつつ、「血生臭く、醜く、恐ろしい」ウクライナの紛争が、「NATOとロシア間の、米国の直接関与の可能性も含む、本格戦争に発展することを防ぐ方法で対応する必要がある」と改めて説明した。

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