カバノー氏性的暴行疑惑 告発女性が議会証言に同意 – これまでの経緯

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最高裁判所判事候補のブレット・カバノー氏(Brett Kavanaugh)から性的暴行を受けたとするクリスティン・ブレイシー・フォード氏(Christine Blasey Ford)が、翌週木曜日に上院司法委員会の公聴会で証言を行うことに同意した。

証言は、フォード氏の代理人を務めるデブラ・カッツ氏とリサ・バンク氏からメールで委員会に伝えられた。弁護側は「フォード教授は委員会の要求を受け入れ、ブレット・カバノー氏による性的不適切行為に関する、自身の体験を証言する」と述べつつ、「委員会が約束した公正公平な疑惑調査と根本的に矛盾しており、プロセスを歪めた情報漏洩や脅かしについて失望している」と、弁護側の要求が十分に受け入れられなかったことを示した。さらに「詳細について同意に達することができることを望む」とし、条件についてさらなる交渉を希望する旨を述べた。

告発をしたクリスティン・ブレイシー・フォード氏によると、事件は、フォード氏が高校生だった1980年代初頭の夏頃、メリーランド州モンゴメリー郡の個人宅で開催されたパーティーで起きた。この時、ふらふらになるほど酔っ払ったカバノー氏とその友人が、フォード氏をベッドルームに呼び、友人の見守る中、カバノー氏がフォード氏をあおむけに押さえつけ、体を触る行為におよんだ。叫ぼうとするフォード氏に、カバノー氏は手で口を押さえつけたという。

フォード氏と上院司法委員会は当初、24日に証言を行う予定で調整を進めていた。しかし、弁護側と委員会の民主党議員らが、証言前にFBIによる調査を要求。共和党のチャック・グラスリー委員長はこれを拒否するなど、プロセスを巡って調整が難航していた。

議会証言までのタイムライン

9月12日

カバノー氏の性的暴行疑惑に関する書簡をダイアン・ファインスタイン上院議員(民主 カリフォルニア)が受け取っており、司法委員会の民主党議員らに内容を共有したことが、メディアの報道によって明るみに出た。

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9月13日

ダイアン・ファインスタイン上院議員(民主 カリフォルニア)は声明で、書簡を受け取っていたことを発表。フォード氏から機密とすることを強く求められていたため、公表を控え、FBIに提出したことを明かした。

9月14日

ブレット・カバノー氏が声明を発表。「私は断固として、この疑惑を全面的に否定する。私は高校時代はおろか、いかなる時においてもこのようなことは行なっていない。」と疑惑を否定。

上院司法委員会のチャック・グラスリー委員長(共和 アイオワ州)が、ジョージタウン・プレップスクール(高校)に通っていた頃からカバノー氏を知る65人の女性による書簡を公表。

9月16日

フォード氏がカバノー氏の性的暴行疑惑についてワシントンポスト紙に実名で告白。民主党議員らが20日に予定されていた上院司法委員会の投票の延期を要求。

9月17日

疑惑追及の声の高まりを受け、チャック・グラスリー委員長は、フォード氏とカバノー氏の公聴会を24日に実施することを決定。20日の委員会の投票は延期に。

カバノー氏は声明で「委員会が、この誤った疑惑を追求するにふさわしいと判断するいかなる方法においても、喜んで司法委員会に証言を行い、私の尊厳を守る」と証言を行うことに同意。

フォード氏の代理人のデブラ・カッツ氏はフォード氏が委員会で”完全な”証言を行うことを望んでいると、証言に応じることを表明。

トランプ大統領はインタビューで、カバノー氏を「これ以上にないほど高い資質の人間である」と述べつつ、「すべてが完璧で、すべてが正しくあるために、我々はこのプロセスを実施してほしい」と公聴会の実施に賛同を示した。

9月18日

フォード氏の代理人、デブラ・カッツ氏が上院司法委員会に書簡を送付。「公聴会は、6日という短期間の後に行われ、そこでは、彼女を”間違っていた”または”混乱していた”と予め決めつけている上院議員による尋問が行われるだろう。性的暴行の被害者にこのような苦しい体験を与えるべきではない。」と述べ、公聴会の前に、FBIの調査を要求。

ファインスタイン上院議員は声明で「委員会は公聴会前に完璧なレポートを用意するべきだ。我々が先に進む前に、FBIによるレポートが我々の手に渡るよう、直ちに準備することを要求する」と述べた。

9月19日

チャック・グラスリー委員長はデブラ・カッツ氏の書簡に対し回答を送付。FBIの調査の要求について「FBIの役割ではない」とし、24日の証言を希望する場合、21日に資料を提出することを要求した。

9月21日

チャック・グラスリー委員長は、フォード氏の弁護側の要求に対応するため、公聴会を26日(水)に遅らせるとする提案を発表。弁護側からの回答期限を同日午後10:00に延長したとし、回答がない場合は24日(月)に投票を行うと述べた。

調整が難航する中、トランプ大統領がツイッターで言及。

「フォード教授に起きたことが彼女の発言通りなら、彼女または愛する両親が、すぐに地元の捜査当局に告発しただろうと確信している。彼女にこの告発資料を提供するよう求めれば、日時や場所についてわかる。」

「ファインスタインと民主党は手紙を数ヶ月も隠し持っていて、(最高裁判事の使命承認公聴会)公聴会が終わった後になって、妨害と抵抗と遅延を目論んでおおげさに公表した。証言をさせればよい。さもなくば、投票だ!」

ニューヨークタイムズ紙によると、グラスリー委員長の連絡から数時間後、デブラ・カッツ弁護士はメールで回答し、委員会の提案を「攻撃的で人為的な時間設定」で、「フォード教授を脅迫する目的」と非難し、交渉を1日間延長することを求めた。これを受け、グラスリー委員長は22日(土)の午後2時30分に回答期限の延期していた。

最高裁判事候補 カバノー氏に性的暴行疑惑 被害女性が実名告白