トランプ氏じゃ勝てない?人気回復の兆しも、党内から大統領選勝算に疑問の声

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ここ最近の予備選に関する複数の世論調査で2位以下に2桁台のリードを保ち、「勢いを取り戻している」と報じられたトランプ氏だが、かつては絶大とされた党内における影響力を消失しつつあるようだ。

ニューヨークタイムズは26日、全国の党組織を統括する共和党全国委員会(RNC)のメンバー168人全員にアンケートを実施したところ、次期大統領選で唯一出馬を表明しているトランプ氏に全面的な支持を表明したのは、わずかに4人だったと伝えた。

電話やメール、テキストメッセージで回答を求めた結果、20人がトランプ氏を候補者に指名するべきでないと答え、35人が幅広い予備選挙を期待すると述べるなど、トランプ氏に対する立場を明確にしなかった。その他の残りは回答に応じなかったという。

タイムズは、168人中99人がトランプ時代にRNCに加わり、大統領選敗退後を含む6年間にわたって多くが歩調を合わせてきたと指摘。それぞれの立場をトランプ氏に負うところの大きかったメンバーらの離反は、より驚くべきことだとした。

話を聞いたメンバーのうち、トランプ氏の2016大統領選キャンペーンを最初に支持したと主張するアーカンソー州のジョナサン・バーネット氏は「かつてはトランプ氏の支持者だった」と述べ、「われわれは今回、選択肢が必要だと思う。すべての選択肢を見なければならない」と語った。2020年に加わったデラウェア州のハンク・マッキャン氏は、過去二回の大統領選でトランプ氏に投票したが、「今はわからない。おそらく勝てる候補者が10人はいるだろう」と話した。

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メンバーの一部は、120人~140人がトランプ氏以外を党の候補者に望んでいると推定を示したという。

トランプ氏の勝算について率直に疑問を呈する声も上がっている。インディアナ州のジョン・ハモンド氏は「過半数の選挙人を獲得するためには、代替案を見つける必要がある」と主張。「これ以上個人崇拝をするわけにはいかない」と語った。

こうした背景について、タイムズは「多くのメンバーが、2020年にバイデン大統領に負けた後、敗者のイメージがついてしまったと述べた」としたほか、「トランプ氏が選挙結果を受け入れず、自分に対する忠誠を示した2022年に共和党の候補者を推薦した結果、アリゾナ、ジョージア、ミシガン、ペンシルバニア、ウィスコンシンなど主要な激戦区で議席を失ったことから、もう別れてもいいという声も聞かれるようになった」と記した。

これに対して、トランプ氏の選挙広報担当、スティーブン・チャン氏はタイムズに「トランプ大統領は共和党のリーダーであり、それに疑問を持つ人は誤った現実に生きているだけ」と反論。「トランプ大統領は世論調査で大差をつけてリードしており、彼のように興奮と熱狂を生み出せる人物は他にいない」と主張した。

実際のところ、エマーソンカレッジが1月19日~23日に有権者に実施した予備選に関する世論調査では、トランプ氏の支持率は55%で、2位のフロリダ州デサンティス知事(29%)を圧倒。ハーバード大学米国政治研究センターとハリス・ポールの調査(1月18日~19日)は、トランプ氏48%に対して、2位デサンティス氏が28%、モーニングコンサルト(1月20日-22日)の結果は、トランプ氏49%、デサンティス氏30%といずれも2桁台の差をつけた。

タイムズはまた、トランプ氏の政治的立場と大統領復帰の取り組みが、党を予測不可能な状況に追い込んでいると指摘。セオドア・ルーズベルト大統領が退任から4年後に再び出馬し、共和党を分裂させた1912年以来の状況に類似しているとした。

1912年大統領選で、当時のタフト政権に不満を抱き、異例の3回目の当選を目指したセオドア・ルーズベルト元大統領は、共和党予備選で敗れた後、新たに第3の政党「革新党」を結成し、自らが候補者となり本選に挑んだ。結果として、共和党の票が割れ、民主党のウッドロウ・ウィルソン氏の大勝を許した。

トランプ氏自身、こうした考えを排除していないのかもしれない。

トランプ氏は先月29日、保守派のサイトに掲載された記事をTruth Socialのアカウントにシェアしたが、執筆者はその中で、共和党の状況を当時の大統領選になぞらえ、2024年は「共和党が自党の有権者を無視した」1912年の再来に向かっていると主張。トランプ氏の第3党からの出馬に期待を示す内容を綴っている。