職員が旅客機のエンジンに吸い込まれる瞬間を目撃した乗客、1.5億円の損害賠償求め提訴

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旅客機のエンジンに地上職員が吸い込まれる瞬間を目撃した女性が、精神的苦痛を受けたとして、地上業務の請負会社ユニフィ・アビエーションなどに対し、100万ドル(約1.5億円)の損害賠償を求める訴えを起こした。

事故は今年6月23日、テキサス州にあるサンアントニオ国際空港で起きた。原告のマッケンジー・ヒル氏はこの時、エンジン付近の窓側に着席していたという。

旅客機が空港に着陸し、地上走行をしていた時、ある職員が「エンジンに不快なほど近づいて」きたのに気がつき、その後「吸い込まれる」のを目にした。

客室乗務員は事故後、乗客に窓を閉め、15分間着席するよう命じたという。ヒル氏は、事故の様子を証言するため、その場に留まると申し出たが、その必要はないと言われた。

回復不能なダメージを被ったと主張

ヒル氏は、この日以来「悪夢やフラッシュバック」などに悩まされており、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患っている。回復しつつあるものの、「回復不能なダメージを被ったと感じている」とした。

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死亡したのは、ユニフィ社の職員ディビッド・レナー氏(27)。地元の検視局は死因を、自殺と断定した。

訴状によると、亡くなったレナー氏はSNSに、自分のメンタルヘルスに関する「憂慮すべき」メッセージを、何年にもわたって投稿していたという。

ヒル氏は、ユニフィ社はあらかじめレナー氏の精神状態を把握しており、事故は未然に防げた可能性があると主張している。

ヒル氏は、ユニフィ社とレナー氏の遺産管財人に、雇用および監督の過失があったほか、故意に精神的苦痛を与え、欺瞞的行為があったと主張している。一方、企業側はこれらの申し立てを全て否定している。

同社はInsiderに対し、係争中の訴訟についてはコメントしない方針としつつも、「主張には根拠がなく、徹底的に抗弁する」と語っている。