明日の世界はマトリックス?米で発禁のロシア思想家に元FOX司会がインタビュー

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FOXニュースの元看板司会、タッカー・カールソン氏は29日、ロシアの政治思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏(Aleksandr Dugin)のインタビューを公開した。

カールソン氏は昨年FOXニュースを解雇された後、自身のストリーミングサービス「タッカー・カールソン・ネットワーク」を中心に活動している。以前から親ロシア的だとして批判を浴びることのあったカールソン氏は、今年2月、プーチン大統領との単独インタビューを実施している。

ドゥーギン氏は2015年に初めて米国の制裁対象とされた。当時の発表によると、ウクライナの平和や領土保全を脅かす政策に関与したほか、ユーラシア青年同盟の指導者で、ドネツク地方の自称ドネツク人民共和国で戦う人材を採用していた。ロシアのウルトラナショナリストのプラットフォームで西側を標的とした偽情報を拡散したウェブサイト「Geopolitica」を管理しているとされる。

カールソン氏は冒頭、英語圏で「プーチンのブレーン」として知られるドゥーギン氏は、ロシアでは政治的立場の人物ではなく、哲学者だと紹介。2022年8月に起きた娘の暗殺事件に触れつつ、危険思想だとして米国では著書が発禁になったと前置きし、「英語メディアが極右と描く」ドゥーギン氏の考えについて、視聴者に判断を委ねると述べた。

約20分間のインタビューで、カールソン氏の言うところの西側で起きている「自滅的」な状況について見解を求められたドゥーギン氏は、「誤った人間理解」に基づく個人主義から始まっていると主張。個人主義はリベラルイデオロギーの中心コンセプトに置かれ、そのリベラリズムは、すべての集合的アイデンティティからの解放のプロセスだと考えを語った。

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解放のプロセスは、集合的アイデンティティとしてのカトリック教会の否定からはじまり、国家主義への反乱、共産主義やファシズムに対するリベリズムの勝利を経て、今はジェンダーからの解放に至ったと主張。性が選択となった後に残る最後のステップは、「人間のアイデンティティからの解放」だと語った。

人間になることから自由になること、人間になるかどうかを選択できることが明日の政治アジェンダであり、それが自身のアングロサクソン世界に対する見方だと述べたほか、そうした世界は、マトリックスやターミネーターといったハリウッドSF作品にすでに描かれているとも語った。