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トランプ氏を見放した?会計事務所が突然の関係解消

トランプ前大統領が長らく利用してきた会計事務所「Mazars USA」が、トランプ一族の企業との関係を解消したことが分かった。

Mazarsは9日付で、トランプ・オーガニゼーションに書簡を送り、同社の税務処理を今後行わない旨を通知した。同書簡は14日、トランプ・オーガニゼーションを捜査中のニューヨーク州司法長官事務所が、資料の一部として裁判所に提出し、公にされた。

同社は書簡の中で、「2011年6月30日締めの会計年度から2020年同日締めの会計年度までにわたるドナルド・J・トランプ氏の財務報告は信頼されるべきではない」と、自社が作成に関わった資料について指摘。「他に同じ書類を1つでも送付した取引先がある場合、信頼できない書類であることを通知すべき」と、トランプ氏側に伝えた。

報告が信頼できないとしたのは、ニューヨーク州司法長官の今年1月付の捜査資料、独自調査、その他、事務所内外の各資料に基づき見直した結果だと説明。「各財務報告書間で内容に矛盾があるかどうかについては結論が出ていないが、状況全体を鑑み、一部財務報告が信頼できないという判断は適切だと考える」とした。

関係解消の判断については、「これらの財務報告に加え、現状を総合的に判断した結果、トランプ・オーガニゼーションとは見過ごせない利害の対立があるとの考えに至った。結論として、今後トランプ・オーガニゼーションにはサービスを提供できない」と述べた。

書簡では、2月15日に提出を控えるトランプ氏とメラニア夫人個人の確定申告についても言及。申告に必要だとして数ヶ月にわたって要請してきたにも関わらず、カラマリ・ジュニア氏のアパートに関する資料が提出されていないと明かした。同氏はトランプオーガニゼーションの幹部、マシュー・カラマリ氏の息子で、セキュリティ部長を務めている。

ワシントンポスト紙によると、カラマリ・ジュニア氏は昨年、司法長官とマンハッタン地検の両方から、トランプ氏の企業から手当されたアパートの税務申告をめぐって証言を求められている。

会計事務所の離脱について、捜査上の重要性に加えて、トランプ氏のビジネスへの影響を指摘する声も上がっている。

NPRは、トランプ・オーガニゼーションは、今後数年で数百万ドルの借金の返済期限を迎えるとした上で、トランプ氏の将来の財政に大きな影響を与えるだろうと指摘。トランプ氏は過去十年間、銀行融資を頼りに、マイアミ郊外のゴルフコースの買収やワシントンD.Cにある旧郵便局建物のリースをはじめ、世界中で取引を行っている。

伝記本「TrumpNation: The Art of Being The Donald」の著者で、ジャーナリストのティム・オブライエン氏は、MSNBCの番組に出演し、トランプビジネスの健全性に真の脅威となる「決定的な瞬間」と解説。財務諸表に承認を与える会計士がいなければ、取引をしたがる銀行は、少なくとも国内にはない」と述べた。

トランプ氏は一貫して、ジェームズ長官の捜査を政治的動機に基づいた不当な捜査と非難している。

一方、ジェームズ長官は14日に発表した声明で、「ドナルド・トランプとトランプ・オーガニゼーションが、経済的利益を得るために不正かつ誤解を招く財務報告書を使用したことを示す証拠は、増え続けている」と捜査の正当性をアピールした。

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