トランプ政権 出産目的の旅行者制限へ、 ビザ発給に新ルール

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米国務省は23日、米国で出産することで子供に米国籍を取得することを目的とした「出産ツアー」を制限するため、Bビザ(商用観光の非移民ビザ)の発給に関する規則を変更すると発表した。

発表資料によると、Bビザ発給の定義を一部修正し、渡航の主たる目的が、出産による子供の米国籍の取得である場合にビザの却下の根拠になるとしている。新規則は24日から適用される。

変更理由について、出産ツアーはビザ発給の対象となる正当な活動ではないと指摘。さらに、出産ツアーは国家安全保障にリスクをもたらすとし、「出産ツアー産業は、国際的な犯罪スキームを含む、犯罪活動に満ちている」と述べた。

Bビザで渡航し、米国内で出産した人数について詳細を把握するのは「困難」とするなど、リスクの程度については明らかにしなかった。一方、子供の国籍取得を目的としたビザを許可することは、安全保障に長期的な脆弱性をもたらすと主張。新規則は、出産ツアーを悪用して米国へのアクセス強化を試みる外国政府や団体がもたらす安全保障の潜在的な脆弱性を解消するのに役立つと述べた。

なお、保守グループの移民調査センターは、2016年後半から2017年前半、旅行ビザで一時滞在した3万3,000人の女性が米国内で出産をしたと推定している。

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変更は国務省のビザ発給に関するもので、ビザ免除プログラムを含む外国人の入国に関する国土安全保障省の規制を変更するものではないと明記しており、空港の入国審査に影響は出ないとみられる。

アメリカの国籍取得は一般的に「出生地主義」と呼ばれ、合衆国憲法修正第14条第1節には、「アメリカ合衆国で生まれ、または帰化し、かつ、合衆国の管轄に服する者は米国市民であり居住する州の市民である」と規定されている。アメリカ合衆国に生まれた子供達は自動的にアメリカ市民となるというのが、憲法学者の一致した解釈となっている。

移民政策で強行姿勢を示し、支持者にアピールしたいトランプ大統領は、2016年選挙期間中から出生地主義に反対の意向を表明していた。昨年の中間選挙の直前、大統領令によって出生地主義の廃止ができると主張し、物議を醸した。