法廷闘争アップデート:トランプ氏「絶対的免責」を主張。2024年選挙は最高裁巻き込む波乱の展開予想

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2020年大統領選の結果を覆す取り組みをめぐって4つの罪状で起訴されているトランプ前大統領。23日、首都ワシントンの連邦控訴裁判所に提出した文書で、大統領は公務に対する訴追から「絶対的に免責」されると主張。起訴は違法かつ違憲であるとし、棄却を求めた。

トランプ氏の弁護士らは71ページにおよぶ文書で、起訴状で主張されている行為は、トランプ氏が大統領在任中のもので「典型的な大統領行為」だと指摘。権力分立制度の下で司法府は大統領の公務を裁くことはできないとしたほか、憲法にある弾劾判決条項は、大統領に対する公訴は、弾劾裁判で有罪評決を受けた場合のみを前提としているとするなど、複数の理由を示した。

トランプ氏自身、クリスマスイブの24日朝にTruth Socialのアカウントを更新し、当該行為は選挙キャンペーンではなく、選挙はすでに終わっていたとした上で、「不正操作され、盗まれた選挙を暴き、調査するための大統領としての責務」だったと主張。「もちろん免責される資格がある。過ちは犯していない。魔女狩りを直ちに止めろ」と投稿した。

トランプ氏が起訴されたのは今年8月1日。連邦地裁の公判は3月4日に設定されている。

トランプ氏側は10月、免責を理由に地裁に棄却を申し立てたが却下されたため、今月7日に判決の覆しを求めて上訴した。これと同時に、事件に関する手続きを停止するよう地裁に要請。タニヤ・チュトカン連邦地裁判事は13日、トランプ氏側の主張を認めた。

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これと前後して、事件を担当するジャック・スミス特別検察官は、控訴裁判所を飛ばして連邦最高裁に免責をめぐる判断の介入を求めた。しかし、最高裁は22日、スミス氏の申し立ての棄却を発表。事件の中心課題は控訴審で裁かれることが確定した。

控訴裁判所の審理は1月9日を予定している。判決は即時に下されると見られているが、敗訴した側が最高裁に申し立てる可能性は極めて高い。

トランプ氏は、候補者の資格を認めないとしたコロラド州のケースも連邦最高裁に審理を求める意向を示している。コロラドでは修正第14条をめぐって州地裁と州最高裁で判断が分かれた。

専門家らは、連邦最高裁が取り上げれば、休廷前の6月中旬に判決が下される可能性を指摘している。大統領選の予備選が終わり、両党の候補者が確定する時期に重なる。6-3で保守派に傾く最高裁が、2024年大統領選の行方を左右する、極めて重要なポジションに立たされることが予想されている。