ティム・バートン監督、ディズニーでの映画制作はおしまい?「ひどい巨大サーカス」

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フランスのリヨンで開催されたリュミエール映画祭で、功績をたたえる「リュミエール賞」を受賞したハリウッドの奇才ティム・バートン監督。22日の記者会見で、3年前に公開された実写版「ダンボ」の制作経験などを振り返った。

バートン氏は、ディズニーでアニメーターとしてキャリアをスタート。複数の短編映画を制作した後、ワーナー・ブラザースで「ピーウィーの大冒険」の監督を務めた。その後は再びディズニーとタッグを組み「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」(1993)や「エド・ウッド」(1994)、「アリス・イン・ワンダーランド」(2010)、「フランケンウィニー」(2012)などダークファンタジーを中心にヒット作品を輩出した。

indiewireによると、バートン氏は「自分の歴史はディズニーで始まり、その後、雇われたり、クビになったりを何度か繰り返してきた」と述べ、「ディズニーとの日々はもう終わりだと思ったのは『ダンボ』だった」と明かした。「自分自身が、このひどい巨大なサーカスで働いているダンボだと気づいたんだ。逃げる必要があった。あの映画は、ある意味かなり自伝的だ」と振り返った。

21日には特別講義も開催され、スタジオ作品やヒーロー映画の時代の変化についても、自身の思いを語っている。

Deadlineによると、バートン氏は「70年代には、より多くの実験や自由があり、スコセッシ監督のような人々が、よりインディペンデントスタイルの映画を制作できた」と指摘。その後、ブロックバスターというアイデアが生まれ、ビジネス面により焦点が当てられるようになると、時代は変わったと説明した。一方、自身は「ある種の独立性を保っており」、スタジオ作品でありつつも「自分のやり方で物事を動かすことができた」と語った。

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バートン監督のヒット作の一つ「バットマン」(1989)は、ヒーロー映画における表現方法を数多く確立したが、いまだに同作の影響が強く残っていることに感心しているという。

「苦しめられるスーパーヒーローや、奇抜なコスチュームなど、今も大きく変わっていないことに驚かされる。しかし私にとって、当時はとても刺激的で斬新だと思っていた」と振り返った。

「今は”バットマンの新作をどう思う?”という会話が出ると、私には涙が出るほど笑える。昔を思い出すと、スタジオでは毎日のように、”ダークだ、ダークすぎる”という意見が飛び交っていたんだ。それが今は軽いドタバタ劇のように見えるのだから」と変化を語った。