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「建国の父」トマス・ジェファーソン像を撤去へ NY市

ニューヨーク市庁舎内の議場に設置されている「建国の父」トマス・ジェファーソン像が撤去される。

パブリックアートを監督する市の公共デザイン委員会は18日、移設に関する投票を行い、全会一致で可決した。
ニューヨークタイムズによると、像は首都ワシントンの議会議事堂にあるジェファーソンのブロンズ像から形取られた模型で、1830年代にニューヨークの市庁舎に寄贈され、1915年から現在の議場に設置されている。

ジェファーソンは、1776年の独立宣言を起草し、第3代大統領に就任した。600人以上の奴隷を所有し、そのうちの1人、サリー・ヘミングス(Sally Hemings)と6人の子供をもうけた。

ブラック・ラティーノ・アジアン委員会(BLAC) の市議会議員らは2019年、コリー・ジョンソン市議会議長に対し、「不穏かつ人種差別的なシンボル」として、像の撤去を求めていた。

CBSニュースによると、20年前からイネズ・バロン市議会議員と共に、夫婦で撤去をはたらきかけてきたチャールズ・バロン州議会下院議員は、今回の決定について「レイプした人物の名誉を消去することの第一歩となる」と成果を語った。

像はニューヨーク市最古の美術館「ニューヨーク歴史協会」(New York Historical Society)に移設される可能性が高いという。

像をめぐる議論

セオドア・ルーズベルト像アメリカ自然史博物館
アフリカ人と先住民が並ぶ構図が問題視されたルーズベルト像 ©mashupNY

バージニア州シャーロッツビルで2017年、奴隷制の存続を支持したリー将軍の像の撤去を巡り、白人至上主義者と反対派が衝突。1人が死亡した。

デブラシオ市長はこの事件をきっかけに、市内に設置された「ヘイトのシンボル」になりうる像の見直しを行うと発表。特別委員会を設け、これまでに800点のレビューを行った。この結果、「産婦人科の父」と呼ばれた外科医マリオン・シムズ像や、フランスのフィリップ・ペタン将軍の像が撤去されている。一方、長らく議論の的となっていたコロンブスの像は継続して設置することとなった。

2020年、黒人男性ジョージ・フロイド氏が警察官に殺害されたことをきっかけに、差別や奴隷制を象徴する像の撤去や、名称の変更を求める声が再び高まった。
公共デザイン委員会は今年、アメリカ自然史博物館の入り口にある第26代大統領セオドア・ルーズベルト像の撤去を決定している。

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