スピルバーグ監督、ハマス攻撃について「ひそかに」声明発表

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映画界の巨匠スティーブン・スピルバーグ監督が、10月7日のハマスによるイスラエル攻撃について声明を発表していたことがわかった。Wrapが報じた。

声明は、自身が設立した「ショア財団」を通じて発表された。同財団は1994年、ホロコースト(ヘブライ語でショア)の生存者の体験談を後世に伝えるため、スピルバーグ氏が設立した。当時監督は、「反ユダヤ主義や憎悪の危険な高まりに対抗するための強力なツールとしての役割を果たす」とその目的を説明していた。

1日に発表した声明の中で、ハマスの攻撃について、「人生で、ユダヤ人に対する言葉で言い表せないほどの残虐な行為を目にするとは想像していなかった」と衝撃を振り返った。

今回財団は、ホロコーストの証言に、ハマス攻撃のサバイバーのインタビューを加える計画を明らかにした。そのことで、反ユダヤ主義に対抗する取り組みを進めていくという。監督は、「歴史を保存し、反ユダヤ主義やいかなるヘイトのない世界を形成するため、彼らの物語を記録し共有するという約束を果たす」と語った。

ユダヤ人のスピルバーグ氏は今年3月、コメディアンのスティーブン・コルベアの番組に出演した際、「反ユダヤ主義は、もはや潜んでいない」と指摘。「今までに経験したことはない」と発言するなど、ユダヤ人に対するヘイトの増加に警鐘を鳴らしていた。

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今回の攻撃に関しても監督が、どのような見解を示すのか注目されていた。「ホロコーストサバイバー財団USA」のデービッド・シェクター氏は今月6日、スピルバーグ氏に宛てた公開書簡で「テロリズムやハマス、そしてユダヤ人の血が流れることを祝う何百万人もの人々に意義を唱え、立ち向かっていない」と述べるなど、声明を発表するよう促していた。

シェクター氏は、スピルバーグ氏が監督した映画『シンドラーのリスト』(1993)にも触れ、「命を危険にさらせといっているのではない。あなたのボイスを使って欲しい」と呼びかけた。ホロコーストからユダヤ人の命を救ったドイツ人事業家オスカー・シンドラーを描いた同作品は、アカデミー賞作品賞など7部門を受賞した。

Wrapはスピルバーグ氏の声明について、「ひそかに沈黙を破っていた」と報じた。ホロコースト以来「最悪」の事件であるにもかかわらず、なぜ声明の発表に(攻撃から)2カ月かかったのかは「不明」としている。