トランプ氏「完全にばかげている!」、名誉毀損で120億円の賠償命令

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女性コラムニスト、E・ジーン・キャロル氏(80)がトランプ前大統領(77)を相手に起こした2回目の名誉毀損訴訟で、ニューヨークの陪審は26日、トランプ氏に8,330万ドル(約120億円)の損害賠償の支払いを命じる評決を下した。

AP通信によると、この日に行われた最終弁論で、キャロル氏の弁護士は、2,400万ドルの補償的損害賠償と「非常に高額な懲罰的損害賠償」を命じるよう要求した。午後4時30分頃、3時間に満たない審議で陪審が評決に達した賠償の内訳は、補償的損害賠償1,830万ドルと懲罰的損害賠償6,500万ドルとなった。

トランプ氏は自身の弁護士の最終弁論を聞き終えた後、評決を待たずに裁判所を後にした。

大勢の報道陣が待ち構える中、笑顔で裁判所から出てきたキャロル氏は、弁護団と肩を組んで立ち止まってみせたが、質問には答えずに車に乗り込んだ。

E・ジーン・キャロル
©MashupReporter

間もなくして正面口から姿を表したトランプ氏の弁護士、アリーナ・ハバ氏は、テレビカメラを前に「みなさん、司法制度への違反が起きている」と主張。「ただちに上訴する。このばがげた陪審に不満だ」と声を荒げた。「われわれは戦い続ける。今日は負けたが、勝利することを保証する」と続け、「われわれは、法廷に入る前からあらゆる弁護を剥奪された。トランプ氏は出廷し、証言台に立って裁判官と対峙した。私はトランプ氏とともに立てたことを誇りに思う」と語った。

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アリーナ・ハバ
アリーナ・ハバ氏©MashupReporter

トランプ氏は、Truth Socialの投稿で「完全にばかげている!」と非難し、「私と共和党に焦点を当てたバイデン主導の魔女狩りに不服を申し立てるつもりだ」と上訴する意向を表明。「われわれの司法システムは制御不能で、政治的な兵器に利用されている。彼らは私の憲法修正第1条の権利をすべて奪った。これはアメリカではない!」と不満を続けた。

キャロル氏は、2019年6月掲載のニューヨークマガジンの記事で、マンハッタンの高級デパートの試着室で1996年にトランプ氏からレイプされたと告発したが、これに対してトランプ氏は、キャロル氏は「まったくの誤り」、本人と会ったこともなく、本を売るためのでっちあげと非難し、これが今回の訴訟につながった。

キャロル氏とトランプ氏が法廷で争うのは2回目になる。昨年4月から5月にわたって行われた審理で、陪審はレイプは認めなかったものの、トランプ氏に性的虐待と2022年のトランプ氏の発言について名誉毀損の責任があると認定し、500万ドルの損害賠償の支払いを命じた。

審理に先立ち、カプラン判事は2019年の発言は2022年のものと実質的に同様で、キャロル氏は名誉毀損を改めて証明する必要はないと判決を下した。さらに、一回目の評決に基づいて、トランプ氏は、試着室で起きたことに関するキャロル氏側の説明に異議を唱えることはできないとした。そのため、今月16日から始まった審理の範囲は賠償に限定されていた。