デンバー プロテスター射殺事件。容疑者は過去に左派の活動

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コロラド州デンバーで10日、デモ参加者が銃で撃たれ死亡した事件に関し、マシュー・ドロフ(Matthew Dolloff)容疑者(30)は、過去に「オキュパイ・ウォールストリート」などの左派活動に参加していたことが分かった。デイリーメールが報じた。

射殺されたのは、退役軍人のリー・ケルトナー(Lee Keltner)さん(49)。事件当日、市民センターパーク前では、ブラックライブズマターと、これに反対する右派団体「パトリオット・ラリー」の抗議デモが行われていた。遺族によると、ケルトナーさんは、警察への支持を訴えるため、デモに参加していたという。

ドロフ氏は発砲後、その場で拘束された。地元検察局はドロフ氏を、第2級殺人で起訴する予定と発表した。有罪の場合、16年から48年の禁固刑が科せられる。

警察の調書によると、ケルトナーさんは事件直前、別の男性と激しい口論を交わしており、暴力沙汰に発展しかねない様子だったという。60代の男性が2人の仲介に入った後、ケルトナーさんは、近くにいたドロフ氏の頭を平手打ちした。ドロフ氏は拳銃を抜き、ケルトナーさんが催涙スプレーを噴射した際に発砲した。

ドロフ氏は、警備会社のピンカートン(Pinkerton)から派遣されていたが、警備員のライセンスを所持していなかったことが明らかになった。
ピンカートンは、ドロフ氏を別の企業から下請け契約で雇用したと説明している。
9Newsは声明で、抗議デモの取材時には、民間の警備員を伴うのが標準の習慣だったと述べ、契約先のピンカートンに対し「クルーに同行する警備員に武装しないよう指示したしていた」と発表した。クルーは、ドロフ氏が武器を所持していることに気づかなかったという。

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デンバーの検察局は、無免許の警備員を雇用した場合、罰金や免許取消などの処分を科す可能性があるとしている。

ドロフ氏の家族の代理人、ダグ・リチャード弁護士は、ドロフ氏の行為は正当防衛だと主張した。ドロフ氏は、ケルトナーさんがシャツを持ち上げ、武器を手にしようとした可能性があるのを見て、身の危険を感じたと語っているという。

警察は現場から2丁の銃が回収されたが、所有者については確認されていないと発表している。

過去にサンダース氏を支持

デイリーメールによると、ドロフ氏は以前から「オキュパイ・ウォールストリート」などの抗議デモに参加し、反トランプ的な内容をSNSに投稿していた。

これまでにトランプ支持者を「人種差別主義者」扱いしたり、トランプ大統領就任式後に「ファシストの独裁国家」などと非難する投稿を行っている。

一方、2016年春には、民主党から大統領候補として立候補していた社会民主主義者バーニー・サンダース上院議員の選挙集会に参加し、友人らに投票を呼びかけていた。

2010年から2013年にドロフ氏と交際していたという女性は、2人は経済格差への抗議活動「オキュパイ・ウォールストリート」の地方集会「オキュパイ・デンバー」に深く関わっていたと語った。ドロフ氏の行為は擁護できないと述べた上で、「私の知るマットは、困っている人に救いの手を差し伸べる良い人だった」と語っている。

ドロフ氏には妻がおり、2014年からコロラド州エリザベスで農場を経営しているという。近隣住民は、夫妻が農場の裏で頻繁に射撃の練習をしていたのを見かけたとFOX31に語っている拳銃やAR-15、ライフルなどを使用していたという。

事件後、ドロフ氏のSNSへの投稿内容などから、アンティファなど極左団体による殺人事件との噂が広まった。しかしデンバー警察は、ドロフ氏は極左集団の「アンティファ」やブラックライブズマターの団体とは関連がないと発表している。

ドロフ氏の代理人も「政治的な任務はなく、従業員を守ろうとしただけだった」と9Newsに語っている