21日(金)に、スパイサー大統領報道官の辞任の日と同じくして、ホワイトハウス広報部長に任命されたアンソニー・スカラムッチ氏(Anthony Scaramucci)。就任からわずか1週間だが、大統領に勝るとも劣らない過激な発言が世間を騒がせている。
スカラムッチ氏とは
ムーチの愛称で親しまれるアンソニー・スカラムッチ氏はニューヨークのロングライランド出身。ゴールドマンサックスでキャリアをスタートし、1996年に同僚とともに資産運用会社「オスカーキャピタルマネジメント(Oscar Capital Management)」を設立。2005年には自身の投資会社「スカイブリッジ・キャピタル(SkyBridge Capital)」をスタートした。メディアには投資の専門家として度々登場してきたほか、番組「Wall Street Week」のホストを務めた経歴を持つ。2008年に、オバマ前大統領と民主党の資金調達を担当。オバマ前大統領とは、ハーバード・ロー・スクールの同級生でバスケットを一緒にプレイする間柄だったという。しかし、その後、オバマ前大統領のウォールストリートの方針に反対し、2012年の大統領選では共和党候補のミット・ロムニー氏の資金調達チームに参加。2016年にトランプ氏が共和党の大統領指名候補となる以前は、トランプ氏を「金の為に働く政治家」「アンチ・アメリカ人」と批判していたが、その後、支持に回り、トランプ陣営の資金集めを担当した。
就任初日 大統領への”愛”を何度も表明
I love the president and I’m very, very loyal to the president,
21日に記者会見に登場したスカラムッチ氏。過去にトランプ氏を批判したことを最大の過ちだと述べ、大統領に向けて謝罪した。一方、会見中に、4回も大統領を愛していると発言し、大統領に対して忠誠であることを表明。さらに、トランプ氏かいかに優れた人物であるか、ゴルフの腕前を例に説明するなど、大統領を褒めそやす場面も。独特な会見の様子やトランプ氏そっくりの仕草は、メディアで大きく取り上げられた。
The Mooch did his homework. pic.twitter.com/Wku0DF2ovd
— The Daily Show (@TheDailyShow) 2017年7月24日
ラインス・プリーバスは精神分裂のパラノイアだ
Listen to an excerpt of the vulgar phone call between Anthony Scaramucci and a reporter for the New Yorker https://t.co/cu0rL3C6wl pic.twitter.com/WiLo4WDTHt
— CNN (@CNN) 2017年8月3日
スカラムッチ氏が大統領と、大統領夫人、フォックスニュースのキャスターであるショーン・ハニティ(Sean Hannity)等と会食を行なったことが明るみに出た26日、スカラムッチ氏は雑誌ニューヨーカーの記者ライアン・リザ氏(Ryan Lizza)に電話をかけ、誰が会食の情報を漏らしたかを問い詰めた。記者が、教えられないと伝えると、スカラムッチ氏は「(大統領のアシスタント)全員をクビにしてやる、そうすれば、お前は誰も匿うことはできない、今後2週間に渡って、全てをクビにするんだ」とまくし立てたという。さらに、一向に口を割らない記者に対し、会食に呼ばれなかったラインス・プリーバス(Reince Priebus)首席補佐官が情報を漏らしたと推測、「ラインスは、偏執狂の精神分裂病だ、パラノイアだ(Reince is a fucking paranoid schizophrenic, a paranoiac) 」と発言。その後、スカラムッチ氏の暴言は、他のスタッフに向けられ、「俺はスティーブン・バノンとは違う。俺はXXXXXXなんてしないんだ(I’m not trying to suck my own cock)」と、首席戦略官を攻撃。
一連のやり取りは、翌日、雑誌ニューヨーカー(The New Yorker)が記事に取り上げ、メディアの大きな話題に。スパイサー報道官に代わる、強烈なキャラクターの登場に、人気コメディ番組「The Late Show」の司会、スティーヴン・コルベア(Stephen Colbert)も笑いをこらえきれない(?)様子で、記者とのやりとりを紹介した。
ホワイトハウススタッフを汚い言葉で罵る様子を暴露されてしまった、スカラムッチ氏。その後、ツイッターで、「私は時にカラフルな言葉」を使うことはあるが、「大統領の任務遂行への情熱は失っていない」と、改めて大統領への忠誠を強調した。
I sometimes use colorful language. I will refrain in this arena but not give up the passionate fight for @realDonaldTrump's agenda. #MAGA
— Anthony Scaramucci (@Scaramucci) 2017年7月27日
さらに、ニューヨーカーの記者との会話はオフレコだと思っていたと他のメディアで釈明したスカラムッチ氏。自身が記者に欺かれたかのようなツイートを発信した。(記者はオフレコの約束をしていない、とスカラムッチ氏の発言を否定)
I made a mistake in trusting in a reporter. It won't happen again.
— Anthony Scaramucci (@Scaramucci) 2017年7月28日
「レポーターを信じるという過ちを犯してしまった。二度とこんな過ちは犯さない」
家族のことは放っておいてくれ
家族を巻き込む必要はないだろう。
Family does not need to be drawn into this. Soon we will learn who in the media has class and who doesn't. No further comments on this.
— Anthony Scaramucci (@Scaramucci) 2017年7月29日
29日、Page Sixが、妻のDeidre Scaramucci氏が離婚申請をしたことを報道。報道によると、24日にDeidre氏は、男の子を予定日よりも早く出産。当日スカラムッチ氏は、大統領とともにボーイスカウトのイベントに参加していた。一部報道によると、スカラムッチ氏の政界における野望とトランプ大統領への支持に夫人が不満を募らせていたという。
これからも新しい報道官、ムーチの発言に目が離せなさそうだ。