米の訓練受けたアフガン元エリート兵士ら ロシアが勧誘か

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昨年8月の米軍によるアフガン撤退劇は、国内外からの大きな批判を招く結果となったが、取り残された後にイランに逃れたアフガン特殊部隊員たちは現在、ロシア軍に加わり、ウクライナと戦うかどうかの判断を迫られているという。

AP通信が元将官らの話をもとに伝えたところによると、ロシアは、一月1,500ドルの報酬と家族を含む身の安全を提供することを条件に、アフガン軍の元エリート隊員らに対する勧誘活動を進めている。

約20年におよぶ戦争で、米軍とともに戦ったアフガン特殊部隊の人数は2万人~3万人と推定されているが、米軍の撤収時に空輸されたのは数百人の上級将校だけだった。

ある米軍の帰還兵はAPに、米軍が去った後、タリバンが特殊部隊員の家を回って拷問または殺害した十数件の例を挙げ、本人が不在の場合、家族が同様の仕打ちにあうケースもあったと説明している。

人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチの報告では、元アフガン兵や諜報員、警察を含む約100人以上が、殺害または強制的に「失踪」した。国連は10月中旬の時点で、160件の「超法規的殺人」と178件の逮捕が行われたと報告している。

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将官らの話によると、勧誘活動は「プーチンの料理長」ことプリゴジン氏率いる傭兵組織「ワグナーグループ」が主導しており、ロシアに移り住んだ元特殊部隊の隊員が手助けをしている例もあるという。

WhatsAppで以前の仲間らと連絡を取っているというある元隊員によると、現在約400人がロシアのオファーを検討している。このうちの多くは強制送還を恐れているとともに、米国に見捨てられたことに怒りを抱いているという。

米国では安全保障上の危険が指摘されており、8月の共和党議会報告書では、ネイビーシールズとグリーンベレーによって訓練されたアフガン元特殊部隊員が、米の軍事情報をイスラム国やイラン、ロシアに明け渡すか、これらの国家のために戦う可能性に言及、警告していた。

マイケル・マルロイ元国防次官補代理(中東担当)はAPのインタビューに、米国は彼らを約束通りに助け出さず、しっぺ返しとなっていま跳ね返ってきていると指摘。一方で、元特殊部隊員らは、雇われの殺し屋ではなく、自国で民主主義を機能させたいという願望から軍に加わった人々だと述べるなど、ロシアの説得工作の成否に懐疑的な見方を示した。