アマゾンよ戻ってきて! 地元業界団体NYタイムズに公開書簡

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米アマゾンのニューヨーク市クイーンズ第2本社建設計画の中止を受け、地元の中小企業経営者や建設業界、労働組合、政治家ら約80人は、1日付のニューヨークタイムズにジェフ・ベゾスCEO宛の公開書簡を掲載し、計画の再検討を求めた。

広告は、地元住民の反対が多いという意見に対し、「明らかに大多数」が支持していることをアピールする目的で掲載された。

文末には、公共住宅のリーダーや、地元の中小企業、地元不動産開発業社Tishman Speyerのロブ・スパイヤー(Rob Speyer)氏、政治的影響力を持つ労働組合SEIU 32BJや、AFL-CIOのマリオ・シレント (Mario Cilento)氏らのほか、クイーンズのグレゴリー・ミークス下院議員、ブルックリンのハキーム・ジェフリー(Hakeem Jeffries)議員、スタッテンアイランドのマック・ローズ(Max Rose)議員、デイヴィッド・ディンキンズ(David N. Dinkins)元ニューヨーク市長などの署名が掲載された。
労働組合を結成しないアマゾンの方針に対し、異議を唱えていた小売・卸売・百貨店労働組合のトップ、スチュアート・アペルバウム(Stuart Appelbaum)氏は署名しなかった。

広告掲載を主導したキャサリン・ワイルダー(Kathryn S. Wylde)氏は、アマゾンに再検討への望みを直接伝えるのと同時に、テック業界に対し、ニューヨーク市が彼らのビジネスを歓迎することを伝える目的があるとニューヨークタイムズに語っている。

『ニューヨーカー達は25,000人の正規雇用、11,000人の建設とメンテナンスの仕事、アマゾン社が我々の州にもたらす280億ドルの新たな税収を断念したくありません。ニューヨーカーの明らかな過半数がこのプロジェクトを支持し、計画を中止するというあなたの決定に失望しています。Eコマースと物流、ウェブサービス産業の世界的リーダー企業を迎えることは、新たな雇用をすばやく創出できる我々のテクノロジー産業を大きく押し上げると理解しています。政府、ビジネス、労働者とコミュニティーの幅広い利害を代表するものとして、我々は共に前進できるよう、あなたに再考をお願いします。ロングアイランドシティの計画の発表に続いた公衆の議論は、手荒で、歓迎的ではなかったということは存じています。ニューヨークの意見は強く、時に耳障りなほど大きいものです。我々はこれをニューヨークの魅力の一部と考えています!しかしながら、これほどの重要な計画に取り組むならば、みんなに良い方法でいかに成し遂げるかを我々は考えます。クオモ州知事はプロジェクトの州の認可について個人的に責任を負い、デブラシオ市長は州知事と協力し、アマゾン社屋が周辺コミュニティーの住民とスモールビジネスに大きな利益となるために必要な労働力の開発やインフラ投資など、コミュニティー形成のプロセスを管理します。ニューヨークは、世界中から最高の、最も多様性に富む才能を惹きつける都市です。我々は、この国のもっとも包括的なテクノロジーエコノミーのダイナミックな新たな中心です。我々全員があなたの再考を望み、ニューヨークのエキサイティングな未来の創造に参加することを希望しています。』

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ニューヨーク州知事も諦めない意向

ev radin / Shutterstock.com

ニューヨークタイムズによると、クオモ州知事はアマゾン創始者のジェフ・ベゾス氏を含む役員らに何度か電話をかけ、再検討の要請を行っているという。
クオモ州知事は緻密で十分な経験に基づいた政府機関のプロセスを通じて、アマゾンと交渉にあたると述べている。

アマゾンは2月14日、ジミー・ヴァン・ブラマー(Jimmy Van Bramer)市議会議員やマイケル・ギアナリス(Michael Gianaris)上院議員など地元議員らの反対を理由に、クイーンズに建設を予定していた第2本社建設計画の中止を突然発表した。
アマゾン第2本社建設の発表後、州と市が同社に減税や助成金など約30億ドルの優遇措置を提供する契約を締結していたことが判明し、一部の議員や活動家による反対運動が各所で起こっていた。

アマゾンの中止発表は、反対を唱えたアレクサンドリア・オカジオ・コルテス(Alexandria Ocasio-Cortez)下院議員など地元議員らは勝利を喜ぶ声をあげた。誘致を主導してきたビル・デブラシオ市長はアマゾンを非難する一方、クオモ州知事は反対した地元議員らを非難した。また、地元の中小企業や、不動産事業者、求職希望者からは怒りの声が上がるなど大きな反響を巻き起こしている。