ナワリヌイ氏が獄中死、支持者たちに残したメッセージとは

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ロシア連邦刑務所サービスは16日、反体制派の強力な指導者、アレクセイ・ナワリヌイ氏(47)が、ロシア北部のヤマロ・ネネツ自治区にある特別刑務所で死亡したと発表した。

インテルファクス通信によると、当局は声明で、ナワリヌイ氏は16日、散歩中に気分が悪くなり、意識を失ったと説明した。刑務所の医師らがすぐに救急車を呼び、必要な蘇生措置をすべて施したが効果がなかったとしている。死因は解明中だという。

ナワリヌイ氏は、2021年1月にドイツから帰国した際にモスクワの空港で拘束されて以来収監されたままだった。昨年8月に過激主義に関連する罪で有罪とされ、19年の刑を言い渡された。12月にモスクワから250km離れたメレホボの刑務所から、列車で44時間、1,200km離れた現在の施設に移送された。

ニューヨークタイムズによると、施設は、スターリン時代に鉄道建設のために建てられた囚人の労働収容所の後継にあたる。ロシアで最も過酷な環境の刑務所の一つとして知られているという。

ナワリヌイ氏は2020年、ロシア国内を飛行機で移動中に神経剤を盛られて倒れた後、ドイツに渡って治療を受けた。回復後、ジャーナリストとともに、暗殺計画に連邦保安庁のエージェントらが関与したことを突き止めた。暗殺未遂から帰国までの一連の過程は、ドキュメンタリー作品「ナワリヌイ」として2022年に公開され、翌年のアカデミー賞で「アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞」を受賞した。

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作品中、投獄され殺害された場合に伝えたいメッセージを聞かれると、「決して諦めるな」と語った。「命を狙われたのは、僕らが信じられないほど強いからだ。その力を活用しよう」と続け、「僕たちの巨大な力は悪い連中に押し潰されている。本当は強いのに、僕らに自覚がないからだ。悪が勝つのは、ひとえに善人が何もしないから。行動をやめるな」と呼びかけていた。