日本みたいにしたら?ニューヨーク市地下鉄の新たな安全対策に疑問の声

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ニューヨーク市の地下鉄に、線路への侵入防止に向けた新たな安全設備が登場した。利用客やネットユーザーからは、効果を疑問視する声が寄せられている。

パイロット版として新対策が施されたのは、ワシントンハイツにある191ストリート・ステーション。公開された写真には、フェンスのような障害物がプラットフォームの端に並んでいるのが確認できる。

発表によると、2022年に検討をスタートした線路への不法侵入防止対策の一環で、同駅のほかにコーニー・アイランドのウェスト8ストリート・ニューヨーク駅(F,Q線)とブルックリンハイツのクラーク・ストリート駅(2,3線)を含む計4駅に設置を予定している。

当時の発表資料では、自殺防止を含むメッセージキャンペーンや監視カメラ、スクリーンドア、不法侵入探知システムの導入といった様々な安全対策を、段階的に試験導入する計画が示されている。

なおニューヨーク市の地下鉄では、意図的な不法侵入に加えて、利用客が突き落とされる事件が繰り返し発生している。昨年突き落とされた人数は、10月時点で15人に上った。前年は22人だった。

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今回の対策について、地元紙の取材に答えた利用客からは「まだ誰かが、隙間から突き落とすことができると思う」「誰も安全にするとは思えない」など、効果を疑問視する声が上がった。

さらに、費用が高くてもロンドンやパリ、東京の地下鉄システムで採用されているスライド式ドアが良い、といった意見もあった。

ネットでは「こんな安っぽい柵ではなく、日本みたいなものをつけたら」といった声に加えて、「柵の前でドアが開いたらどうするの?」など、オペレーション上の問題を懸念するコメントも投稿されている。

ニューヨーク・デイリー・ニュースによると、MTAは先週金曜日、社員らに対して、ドアが柵と柵の間に来るよう「非常に正確に停止」するよう勧告したという。

ちなみにホームドアについては、予算1億ドル(約140億円)を投じて、3駅にパイロット版を設置する計画が進行中と報じられている。タイムズスクエアとJFK国際空港の各ターミナルをつなぐエアトレインにアクセスするサットフィン・ブールバード-アーチャー・アベニュー駅、サード・アベニュー駅への設置を予定しているという。

MTAのジャノ・リーバCEOは声明で、「安全性を向上する創造的な方法を見つけるが主眼」と述べるなど、今回の対策はスタート地点であることを強調。「実験段階であり、乗客の流れを妨げずに線路侵入を阻止するのに柵が効果的であるかどうかを注意深く観察する」とした上で、「テストに合格すれば、広く展開する用意がある」と述べた。

開通から120年を迎えようとしているニューヨークの地下鉄。老朽化や遅延、無賃乗車といった問題に加え、今年はすでに2件の脱線事故が起きている。予算不足も深刻で、近代化への道のりは険しそうだ。