カリフォルニア州の連邦地方裁判所は31日、盗んだクレジットカードを使って、50万ドル（5,700万円）以上の買い物をしていたホームレスの男に、禁錮4年の判決を言い渡した。
刑が確定したのはトレース・エボン・ジョーンズ被告（33）。少なくとも2016年11月から2018年7月の間、複数人の仲間と協力して犯行を繰り返した。
ビバリーヒルズで爆買い
ジョーンズ被告らは、アメリカンエキスプレスのカード所有者の個人情報を入手した上で、本人になりすまして同社に連絡。再発行を依頼し、カードが本人に届く前に、横取りしていた。マーケットウォッチによると、スマホを利用して配達を追跡していたという。
これら盗んだカードを使用して、ビバリーヒルズやコスタメサにある高級ブランド店で高価な品物を買い漁った。バーニーズで10万ドル、ゴヤールで9万ドル、高級腕時計を扱うトゥルノーで4万５千ドルを費やしたほか、クリスチャン・ルブタン、バレンシアガ、フェンディ、グッチでも買い物をした。2019年に逮捕されるまで、52万ドルを消費していた。品物の多くはオンラインで転売していたという。
銀行詐欺と個人情報窃盗の罪で起訴され、2020年に有罪を認めていた。
「ミリオンダラー」ホームレス
ジョーンズ被告は、ロサンジェルスのダウンタウンエリアで路上生活をしていたが、高級な身なりをしていたことから、周囲から「ミリオンダラー」と呼ばれていた。
弁護側は、裁判所に提出した書類で、ジョーンズ被告が詐欺の方法を共犯者らに教えていたことを認めたものの、首謀者ではないと反論。10代から相当な期間、路上生活をしており、犯行は贅沢なライフスタイルのためではなく、生き延びる手段だったと主張した。
一方、検察は求刑に際して、「これは一度限りの出来事ではなく、些細な過失でもない」と犯行の悪質性を強調。「最終的な被害者は、アメリカンエクスプレス（不正利用された金額を全て補償した）であるが、個人情報の不正利用は、深刻な国家的問題であり、被害者に与える影響も大きい」と主張していた。
ジョーンズ被告は禁固刑に加え、アメリカンエクスプレスに52万1,000ドルを返還するよう命じられた。
５人の共犯者のうち、刑が確定していない1人を除き、2人が2年または3年の実刑、その他2人は、これまでの勾留期間が考慮され、3年間の監視付き釈放を命じられた。