マイケル・ムーア新作ドキュメンタリー映画「華氏119」米国で低調なスタート

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マイケル・ムーア 華氏119 Fahrenheit 11/9
Featureflash Photo Agency / Shutterstock.com

トランプ政権を題材にしたマイケル・ムーア(Michael Moore)監督の新作ドキュメンタリー「華氏119」(Fahrenheit 11/9)が、21日全米で公開された。「華氏911」の続編ともいえる「華氏119」は、1,719館で上映され、オープニングの興行収入は、予想された500万ドルから1,000万ドルを大幅に下回り、310万ドル(約3億4千万円)で初登場第8位となった。

アメリカ同時多発テロ事件後のジョージ・W・ブッシュ政権を批判した「華氏911」(Fahrenheit 9/11)は、2004年にパルム・ドールを受賞を受賞。868館で上映され、オープニングの興行成績は、約2,390万ドル(26億円)を記録している。「華氏911」は、興行成績は北米で1億1,900万ドル、全世界で2億2,000万ドルを突破し、ドキュメンタリー作品として、過去最高の興行成績となった。

「華氏119」作品内容

ムーア監督のホームタウン、ミシガン州フリント(Flint)市で共和党政権の元、発生した水の汚染事件や、2016年の大統領選挙日から、今日までの様子をドキュメンタリーで描く。ヴァージニア州シャーロッツビルで発生した白人史上主義者と抗議者との衝突事件、フロリダ州で発生したマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校での銃撃事件、その後行われた米国史上最大規模の銃規制に対する集会「マーチ・ フォー・アワ・ライブス」、ウエストバージニアで起こった教師のストライキ、NY州の予備選挙で勝利したアレクサンドリア・オカシオ-コルテスらによる民主社会主義者の台頭などを映像で綴る。
トランプ政権だけでなく、オバマ大統領、現在の民主党への非難が含まれる内容となっており、今後の選挙に大きな影響を及ぼすとみられるワーキングクラス、有色人種、若者、女性たちに焦点を当てる。

不振の理由は?

米国では、米最最高裁判所のルース・ベイダー・ギンズバーグ(Ruth Bader Ginsburg)判事を描いた「RBG」や、テレビ番組司会者フレッド・ロジャース(Fred Rogers)氏を描いた「Won’t You Be My Neighbor」などのドキュメンタリー作品のヒットが続いたが、「華氏119」は苦戦を強いられている。

配給会社を担当するブライアクリフ・エンターテインメント(Briarcliff Entertainment)のステーィブ・バンネル(Steve Bunnell)氏は、comScoreの出口調査では58%が「間違いなく勧める」としており、フレッド・ロジャースのドキュメンタリー59%の数値に近いとしている。RottenTomatoでは批評家評は79%。観客のスコアは賛否両論の57%となっている。

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ヴァラエティー誌のオーウェン・グライベルマン(Owen Gleiberman)氏は、興行成績の不振要因について、ムーアのコアなリベラル層のファンが年を取りライフスタイルが変わったこと、テクノロジーで育った40代以下の世代は、劇場で映画を見て進歩的な衝動に駆られた行為をしようとしない、トランプ時代においては、多くの人がニュースに毒されていて、映画館でさらに見せられることに辟易している、みな活動について語りたがるが、実際には家で「ウォーキングデッド」を観る方を好むなど分析している。