NYC地下鉄マップのデザイナー、マイケル・ハーツさん87歳で死去

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ニューヨーク市の地下鉄マップを手がけたデザイナー、マイケル・ハーツ(Michael Hertz)さんが2月18日、ニューヨーク州イーストメドウの病院で死去した。87歳だった。ニューヨークタイムズが報じた

ハーツさんのデザイン会社、マイケル・ハーツ・アソシエイツ(Michael Hertz Associates)は、メトロポリタン・トランスポーテーション・オーソリティー(MTA)と1970年代に契約を締結し、現在の元となるデザインを1979年に作成した。

1970年のニューヨーク市は破綻寸前で、治安も悪化。地下鉄の利用人数は1918年以降、最低レベルに落ち込んでいた。

ハーツさんらがデザインした地図は、1972年にイタリア人デザイナーのマッシモ・ヴィネッリ(Massimo Vignelli)氏が作成した、ダイアグラムと呼ばれる地図から変更された。ダイアグラムは現在MoMAに所蔵されている。

ヴィネッリ氏の地図は使い勝手が悪いと言われており、苦情の一つは直線で書かれた路線だった。心理学者の研究では、直線の地図は乗客を混乱させるという。
タイムズによると、地図作成のプロジェクトに関わった日本人デザイナーのシライシ・ノブユキ(Nobuyuki Siraisi)氏は、線路のカーブをより感じ取ることができるよう、目を閉じて全ての路線に乗車したという。手書きの路線は、以前の地図の問題を解決した。
公園は緑で池は水色に描かれ、街の景観を正確に反映しており、以前のデザインに比べ、より見やすくなった。
その後も1998年の大規模な改定を含め、何度も修正が加えられている。デザインの変遷については、タイムズのグラフィックで見ることができる。

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地図作成の功労者については議論されてきたが、MTAの当時の広報担当者トム・ケリー(Tom Kelly)氏は2004年、地元紙Newsdayに対して、基本的な設計を作ったハーツ氏が最もたたえられべきだと語っている。

1932年8月1日ブルックリンで生まれたハーツさんは、ウォルト・ディズニー・カンパニーで映画宣伝のアート・ディレクターを務めた後、1960年代に自身の会社を設立。ヒューストンやワシントンなどの交通地図や空港地図のほか、1996年のアトランタ・オリンピックのデザインを手がけた。