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邦人の人質殺害関与のIS戦闘員に有罪評決 収監先は「ロッキー山脈のアルカトラズ」?

バージニア州の連邦地裁の陪審は、シリアで米国人4人と英国人、日本人の後藤健二さんと湯川遥菜などの人質の殺害に関与したとして起訴された過激派組織「イスラム国」の戦闘員エル=シャフィ・シェイク被告(33)に、有罪評決を下した。量刑は8月12日に言い渡され、最高で終身刑となる可能性がある。

CBSニュースによると、シェイク被告は人質に取り死に追いやった4つの罪や、殺人計画に加わりテロ組織を物理的に支援した罪を含む計8つの罪で起訴され、その全てで有罪となった。人質殺害の罪には問われていないが、殺害につながる誘拐や拷問に加わったと検察は主張している。

英国出身のシェイク被告は「ビートルズ」と呼ばれたイスラム国の戦闘員グループの一員とされ、検察は、このグループの他の戦闘員、モハメド・エムワジ容疑者、アレクサンダ・コティ被告と共謀し、欧米各国から20人以上を人質にしたと主張。13日の最終弁論で、ラジ・パレク連邦検事補佐は「被告はテロ行為を一層恐ろしいものにした」と述べた。

対する被告側の代理人、ニナ・ギンズバーグ弁護士は裁判で、シェイク被告がシリアに渡り戦闘員として「イスラム国」に加わったことや、エムワジ容疑者とコティ被告と関係があることは否定しなかった。一方で、シェイク被告が「ビートルズ」の一人であることを検察は証明していないと指摘。「かつての人質は誰一人、法廷でシェイク氏を認識できなかった」と述べ、シェイク被告自身はあくまで戦闘員の一人に過ぎないと主張していた。

米国人の人質4人のうち、ジェームズ・フォリーさん、ピーター・カシグさん、スティーブン・ソトロフさんの3人は、2014年に「イスラム国」が公開した映像で首を切られ殺害される様子が確認された。もう一人、ケイラ・ミュラーさんについては、シリア滞在中の2015年に空爆で死亡したと「イスラム国」が声明を出したが、検察は、1年半の間奴隷として捕らえられ性的虐待を受けていたと主張している。

米国は、裁判のためシェイク被告とコティ被告の身柄の移送を英国側に要求していたが、要求が通る前に2人は米国が支援するシリア民主軍に拘束された。コティ被告は司法取引で有罪を認めており、終身刑が確定している。多くの人質殺害を実行し「ジハーディ・ジョン」の通称で知られたエムワジ容疑者は、2015年に米国の空爆によりシリアで死亡している。

収監先は?

英紙デイリーメールは、シェイク被告はコロラド州フローレンスにある警備レベルが最高の刑務所「ADXフローレンス」に収監される可能性があると伝えている。

「ロッキー山脈のアルカトラズ」の異名をとる同刑務所では、最高度のセキュリティレベルを必要とする罪人が収監されている。現在服役中の囚人には、メキシコの麻薬王エル・チャポやボストンマラソン爆破事件の実行犯ジョハル・ツァルナエフ、1993年ワールドトレードセンター爆破事件の犯人ラムジ・ユセフ、同時多発テロを共謀し、終身刑となったザカリアス・ムサウィ、オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件の実行犯テリー・ニコルズが含まれている。

建物はロッキー山脈の麓の面積15万平方メートルの土地にあり、2.1m x 3.6mの独房が約400室設置されている。各房は防音壁で隔離され、囚人同士のコミュニケーションは禁じられている。室内には寝台、机、スツール、本棚、スチール製のシンク、トイレが備えられている。屋外を覗けるのは、わずか10cm四方の小窓だけだという。

元看守の話では、囚人は毎日一時間だけ、房外のケージに囲まれた場所で過ごす時間が与えられる。

1994年の開所以来、人権問題が指摘されており、2019年には人権侵害をめぐる調査が実施されている。

有罪評決後、ケイラ・ミュラーさんの父カールさんは英ITVニュースの取材に、シェイク被告が受ける刑が「死よりも酷いものになると信じている」と語った。「人生の残りを小さな房で過ごすことになる。私が聞くところによると1日に1時間しか外に出れないようなものだ。自分がしたことについて、考える時間がたくさんある」と話した。

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