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手紙から回転寿司まで ロシア軍事侵攻が日本人の生活を変える深い理由

 ロシアによるウクライナ侵攻から2ヶ月となるなか、欧米諸国や日本によるロシアへの経済制裁は強化、拡大する一方だ。プーチン政権も欧米はロシアを孤立させられないと強気の姿勢を堅持し、輸出入制限などで対抗する構えだ。ロシアを巡る世界的な緊張は、既に長期化することは避けられないところまで来ている。ロシアがウクライナに侵攻した2月24日にように、今後も世界に衝撃を与える出来事が発生する恐れがある。

 一方、日本のメディア報道は戦況に関するものに集中しているが、既にあちらこちらで日常的な影響が出ている。たとえば、1つに国際郵便がある。日本と英国やフランス、ドイツなど欧州を結ぶ航空便は通常ロシア上空を飛行するが、侵攻によってロシア上空の飛行ができなくなったことから、北極圏や中央アジア経由の迂回路、フライトの停止・減便などを余儀なくされている。それによって国際郵便も影響を受け、現在、日本からフランスなどへの航空郵便は停止され、船便での輸送が推奨されている。

 また、日本の水産業界も大きな影響を受けている。大手回転寿司チェーンや高級料亭ではロシア産のカニやウニなど多くを扱っているが、今回の事態で提供停止や値上げを検討、実施している店も増えている。中には貴重なロシア産海産物に見切りをつけ、カナダ産やノルウェー産など第3国にシフトしようとする動きも見られる。そして、国際郵便と同じように日本でも人気の高いノルウェー産サーモンを巡っても、日本と欧州を結ぶフライトの一部停止や迂回飛行によって安定的に同サーモンを確保できなくなり(価格も高騰する)、提供停止や値上げに踏み切る動きも出ている。

 さらに、小麦を巡っても今後が懸念される。日本は小麦を主に米国やカナダ、オーストラリアに依存しており、世界最大の小麦輸出国ロシアには依存していない。しかし、小麦の世界シェアにおいてロシアのシェアも大きく、ロシア産小麦を巡って制裁が拡大すれば、それは必然的に小麦価格の高騰に繋がる。既にその影響も出ており、パンやケーキ、うどんやラーメンなどを扱う飲食業界では値上げに踏み切る動きが見られる。こういった飲食業界の経営層も値上げによって顧客が離れないかを強く懸念しているという。

 初めに指摘したように、この紛争の長期化はもう避けられない。しかし、その長期化は経済制裁の拡大を高い確率でもたらす。今後も我々の日常生活への影響も拡大することだろう。

■筆者プロフィール :カテナチオ 世界情勢に詳しく、特に米中やロシア、インド太平洋や中東の外交安全保障に詳しい。学会や海外シンクタンクなどで幅広く活躍する。

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