米議会で「史上初」下院議長が解任 後任候補にまさかのアノ人?

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米国議会で下院議長が解任されるという前代未聞の状態に陥る中、次期候補者にトランプ氏の名前が挙がっているという。

FOXニュースの司会ショーン・ハニティ氏は3日放送の番組で、情報筋の話として「複数の共和党の下院議員がドナルド・トランプ前大統領と連絡を取り、次期議長に推す取り組みを始めている」と説明。「トランプ大統領は、必要とあれば少なくとも短期的に共和党を助ける用意があるだろうと聞いている」と語った。

ゲスト出演したジム・ジョーダン下院議員(共和党 オハイオ州)は、トランプ案が進められていることについて「知らない」と述べつつ、「彼なら素晴らしいところだが、実際のところ私はドナルド・トランプ氏には次の米国大統領になってほしいと思っている。彼が下院議長になりたいのならば、素晴らしいことだが、私は彼に米国大統領になってもらいたい」と繰り返した。

3日、前日に提出されたケビン・マッカーシー議長の解任動議の採決が行われ、216-210の僅差で可決した。

解任動議が投票にかけられた例は1910年に一度だけあったが、可決されるのは240年の歴史で始めてだという。

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反乱を主導したのは保守強硬派のマット・ゲイツ下院議員(共和党 フロリダ州)。以前から歳出法案の成立を民主党の票に頼らないよう警告していた。マッカーシー氏は先週、右派からの歳出削減の要求を放棄して超党派でつなぎ予算案を通過させ、政府閉鎖を直前で回避した。

ゲイツ議員とともに共和党から7人の議員が解任動議に賛成を投じた。

ゲイツ氏は採決直後の会見で「ケビン・マッカーシーが打倒されたのは、誰も信用していないからだ。ケビン・マッカーシーは複数の矛盾した約束をした。すべてが災いして、私にイデオロギー的には同意していない人々からさえも票を失ったのだ」と勝利を宣言した。

共和党と民主党の議席数が僅差の下院で、党内少数派の票は無視できない。党運営の難しさは議長就任前から予感されていた。今年1月の議長を決める投票は混乱を極め、党がまとまるまでに異例の5日間を要した。マッカーシー氏は、保守強硬派の議員に大幅な譲歩を与え、15回目の投票でなんとか議長に選ばれた。

マッカーシー氏は再選を目指さないとしている。次の下院議長が選ばれるまで、パトリック・マクヘンリー下院​​議員(共和党、ノースカロライナ州)が暫定下院議長を務める。共和党議員らは来週火曜日に議長候補を選ぶための会合を開くと述べているという。

ちなみにトランプ氏の下院議長案は、トランプ支持者の間では以前から出回っている。2年前にダラスで開催された保守政治活動会議(CPAC)の会場では、2024年の大統領選を待たずにトランプ氏を「数日で復帰させる」ウルトラCプランが配られていたと報じられた。

プランには、議長の座に就任した「信頼を得ている保守議員」が「市民」のトランプ氏を下院議長に選出することで大統領継承順位の第3番目に据え、その後バイデン氏とハリス氏を弾劾裁判によって追放して大統領にすると記されていた。

憲法では、議長が議員であることを必須としておらず、単に「下院は議長およびその他の職員を任命する」と書かれているだけだという。ただし、NBCニュースによるとこの問題を検討した専門家の大半は、建国の父は議員の中から議長が選出されると想定していたと結論付けている。

なおマッカーシー氏は先月13日にバイデン氏の弾劾調査の開始を宣言しており、28日には下院監視委員会で第一回目の公聴会が開催された。