史上6人目 経歴詐称だらけの下院議員が除名へ 空席はどうなる?

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lev radin / shutterstock

米下院では1日、ニューヨーク第3地区選出のジョージ・サントス議員(35)の除名を求める決議案を可決した。除名に必要な3分の2を大きく上回る4分の3(311-114)近くの議員が賛成に回った。

2022年の中間選挙で初当選を果たしたサントス氏は、当選直後から数々の経歴詐称疑惑が噴出。ニューヨーク市立大学バルーク校卒の学歴、金融大手のゴールドマン・サックス、シティ・グループでの職歴が、ことごとく嘘だったことが発覚したほか、カトリックでありながら「自分はユダヤ系(Jewish)」と称していたこと、母親の死因まで嘘をついた問題が取り沙汰された。

サントス氏はこうした虚偽について「盛った」だけと答えるなどしていたが、その後、選挙資金法に違反した可能性が浮上。今年5月に通信詐欺や違法な金銭取引、公的資金の窃盗などの疑いでニューヨークの連邦検察によって逮捕、起訴された。支援者から集めた選挙資金を個人口座に移して高級デザイナー服、クレジットカードの支払い、個人的な借金の返済に充てたなどの疑いがあり、その後に追加された罪状を含め訴因は23件に上っている。

これと並行して調査を進めていた下院倫理委員会の小委員会は今月、調査を完了し、寄付金の私的流用を含む違法行為の「重大な証拠」があることを全会一致で承認したと発表した。調査報告書には、不当に党の財政支援を受けた疑いや、高級ブランド品からボトックス代、カジノ旅行、さらにオンリーファンズの支払いまで支援者から得た資金で賄っていた可能性が記されている。委員会は「自分の個人的な経済的利益のために、下院議員選挙のあらゆる側面を不正に利用した」と結論づけた。

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サントス氏は無罪を主張し、委員会の調査は偏向した政治的動機に基づいた中傷と述べるなど、反論していた。除名は危険な前例をつくることになるとも警告していた。

史上6人目

下院が議員の除名決議を可決したのは史上6回目で、有罪判決なしで議員が除名されるのは初めてとなる。

このうち3人は南北戦争時代で、連邦からの離脱や南部連合を支持したことを理由に除名された。

4人目は1980年に収賄事件で有罪判決を受けたマイケル・マイヤーズ議員(民主党 ペンシルベニア)、5人目のジェームズ・トラフィカント議員(民主党 オハイオ)は2002年に収賄やラケッティアリング、脱税などの罪で有罪判決を受けた後、追放された。

空席はどうなる?

サントス議員の選挙区のあるロングアイランドと呼ばれる地域では近年共和党が支持を伸ばし、サントス氏自身、第3地区の議席を10年ぶりに民主党から奪還したとして注目を浴びた。

ポリティコによると、ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は10日以内に特別選挙の日程を決定する。選挙日は、発表後70日~80日以内に行われなければならない。

特別選挙は2月に開催される見込みとなるが、勝利者には早くも6月に2024年の予備選が控えている。

ABCニューヨークによると、民主党からは2017年から2023年まで第3地区の下院議員を務め、昨年ニューヨーク州知事選の予備選でホークル知事に敗退したトーマス・スオジ氏、昨年サントス氏に敗退したロバート・ジマーマン氏、アンナ・カプラン元ニューヨーク州上院議員が出馬する可能性が取り沙汰されている。

共和党からは最大で20人が出馬する可能性が囁かれており、なかでも元ニューヨーク市警察の刑事だったマイク・サプライコーン氏と元イスラエル国防軍兵士のマジ・ピリップ氏が最有力とみられている。