FBI 踏み込み捜査で1時間尋問も「人違い」だった

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今月4日、ボストンのホテルで、FBI捜査官が誤った宿泊客の部屋に踏み込み、約1時間近くにわたって尋問をするという、ドッキリ番組のような出来事があった。捜査は本番ではなく、訓練の一環だったという。

ボストンの地元テレビ局WBZは、飛んだ災難にあったのはデルタ航空の30代の男性パイロットだと伝えている。

同局が情報筋の話をもとに報じたところによると、4日午後10時頃、米連邦捜査局(FBI)と国防総省の捜査官がボストン市内にあるホテルの15階の部屋の扉を叩き、中に入れるよう要求。就寝中だったパイロットが訳もわからず扉を開けると、部屋に押し入り、手錠をかけて尋問した。この間、パイロットはシャワーまで浴びせられたという。

人違いに気がついたのは45分後のことで、捜査官らはパイロットから手錠を外し、詫びを入れたという。情報筋は、捜査官らは、国防総省の配備に関する訓練と模擬尋問を行なっていたと話している。

その後、ホテルの警備員が通報し、警察が対応にあたった。駆けつけた警官らは、建物内で訓練を行なっていたと告げられたという。救急隊員も呼ばれたが、パイロットは治療を断った。

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同局の取材に、FBIは声明で、ボストン支局が、「ボストンのホテルで、隊員が配備先で遭遇しうる状況を想定した国防総省の訓練」に協力していたとし、「不正確な情報にもとづいて、彼らは誤った部屋に送られ、本来の役割ではなかった個人を拘束した」と説明。「幸い怪我人はなかった。(中略)安全がFBIの第一優先だ」とする一方で、事態を深刻に受け止め、ボストン支局が問題を審査していると明らかにした。

このような演習が、民間施設で日常的に行われているのかが気になるところだが、FBIに25年間務めた元捜査官は、WBZの取材に、夜間に拘束すること事態が異例だと指摘。「なぜ夜間拘束の訓練をするのか。通常ではない。正当な理由があるのかもしれないが、私には表面上は理解できない」と述べ、さらに「ほとんどの訓練のプロトコルに収まっていないと思う」と語っている。