アカデミー賞のストリーミング作品除外は競争法違反の可能性 米司法省が警告

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米司法省が、映画芸術科学アカデミー(AMPAS)で検討の可能性が浮上しているネットフリックスなどのストリーミング配信作品のオスカー受賞資格のルール変更に関し、反トラスト法に違反する可能性があるとして、同団体に警告していたことがわかった。Varietyが独占で報じた。

同誌が入手した書簡によると、反トラスト局のマカン・デラヒム(Makan Delrahim)局長は、AMPASのドーン・ハドソン(Dawn Hudson)CEOに宛てた書簡の中で「アカデミーが、競争促進的な根拠なしに、オスカーに一定の資格要件を設け、競争を取り除くことは、反トラスト法違反の可能性がある」と通告した。

今年3月、スティーブン・スピルバーグ(Steven Spielberg)監督は、4月に開催される映画芸術科学アカデミーの年次理事会で、ネットフリックス(Netflix)などが製作したストリーミング配信映画は、劇場公開がない限り、アカデミー賞から除外するなど、新たな規制を提案する意向を示していた。

今年のアカデミー賞では、アルフォンソ・キュアロン監督のネットフリックス映画『ローマ/ROMA』が10部門にノミネートされ、監督賞のほか外国語映画賞、撮影賞の3部門を受賞した。
なお『ローマ』は、カンヌ国際映画祭で、フランス国内での劇場公開がないことを理由に、コンペティション部門のノミネートから除外された。一方、ベネチア国際映画祭では、最高賞の金獅子賞を受賞している。

アカデミーの広報はVarietyに対し、司法省から書簡を受け取り、対応していることを明かした。

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またデラヒム局長は書簡で、シャーマン法の第1条に言及し「新たな競合を排除する競争者間の合意は、その目的や影響が、消費者が購入または享受する財やサービスの競争を妨害する場合、反トラスト法に違反する可能性がある。」と述べ、「ストリーミングサービスを通じて配信される映画などの特定のタイプの映画を、オスカー資格から排除する新ルールをアカデミーが採用し、それが排除された映画の売り上げを減少させる傾向がある場合、第1条に違反する可能性がある」と説明したという。

ネットフリックスは、スピルバーグ監督らによるルール変更の声を受け、監督やアカデミーの名指しを避けつつ、ストリーミングが映画製作者と映画ファンにもたらす効果は相反するものでないと、立場を擁護するツイートをしていた。