国勢調査での市民権の質問は違憲 NY含む17州が政府を提訴

ニューヨークやワシントンD.C.を含む17州と6市及び1,400都市で形成される米国市長会は、2020年の米国国勢調査(センサス、U.S. census)で、市民権の有無を質問することは違憲だとして、トランプ政権を相手取り、ニューヨーク州連邦地方裁判所に訴えを起こした。

3月下旬にトランプ政権は、2020年の国勢調査の質問事項に、市民権の有無を加えることを発表した。この改定は、市民権に関する質問事項が盛り込まれることで、違法、合法に限らず、市民権を持たない多くの住民が、国勢調査に回答を控えることが予想されている。

国勢調査の結果は、議席数や選挙人団の割り当てだけでなく、連邦政府予算の配分にも使用されるため、市民権の有無にかかわらず、米国に住む全ての人を調査対象とすることを義務付けている。一部の専門家の中では、今回の法廷闘争は、最高裁判所まで持ち込まれる可能性があるとしている。

ニューヨーク州のエリック・シュナイダーマン(Eric T. Schneiderman)司法長官は、この質問は移民が多く住む州の回答者の抑制を促すとし、今回の決定は、国に住む全ての人々の数を公平かつ正確に集計するという「憲法上の要件」を満たしておらず、連邦行政法に違反すると述べた。

また、質問は移民らに恐怖心を煽り、全米で3番目に多い移民を抱えるニューヨーク州やカリフォルニア州、テキサス州などの民主党を基盤する州において、不正確な人口の集計結果は、議席数を脅かし、何十億ドルという連邦予算の配分にも混乱をきたすと付け加えた。
質問事項の追加は、移民を歓迎する米国の伝統を重んじるニューヨークのような州への罰則だとし、議会の代表と選挙人団の決定に関わる憲法と、国家の理想を軽んじていると非難した。

ニューヨーク州のジェロルド・ナドラー(Jerrold Nadler)民主党議員も、「トランプ政権による図々しい企みで、センサスを悪用し、正確性を損なうことで、多くの移民が住む州を攻撃するためのものだ」と非難した。

米国の国勢調査

米国の国勢調査は、10年に1度は実施され、市民権の有無にかかわらず、米国に住む全ての人を対象とすることを義務付けている。
調査結果は、議席数や選挙人団の割り当てを定めるだけでなく、助成金や補助金の配分に用いられ、企業が様々な決定を下すためのベースラインとなる。
ニューヨークタイムズによると、移民の割合が増えた1850年代は、市民権に関する質問が盛り込まれていたが、1960年からは一般的な国勢調査において、この質問は除外されている。1970年代には、少数派の住民に対するロングリスト形式の質問を除き、2000年以降は、人口、世帯、住居等に関して調査を行う米国コミュニティ調査(American Community Survey、ACS)のみにおける質問となっている。ACSデータは、議席数の決定には使用されない。

2016年の国勢調査データによると、米国在住の2,250万人が市民権を所持しておらず、これは米国在住の約3億2,300万人の7%にあたる。また、米国土安全保障省(DHS)によると、2012年の時点で米国に滞在する不法移民の数は、1,140万人と試算している。

人権団体は、質問事項の追加は、マイノリティーのコミュニティの政治力を弱めると懸念を抱いている。カリフォルニア州と、米国で最も歴史のある人権団体NAACP(全米黒人地位向上協会)は、3月末に同様の訴訟を起こしている。

今回ニューヨーク州の訴訟に加わったのは、以下の16州と6都市及び、両党が提携した 約1,400都市の米国市長会米国市長会(The United States Conference of Mayors)。
コネチカット州、デラウェア州、イリノイ州、アイオワ州、メリーランド州、マサチューセッツ州、ミネソタ州、ニュージャージー州、ニューメキシコ州、ノースカロライナ州、オレゴン州、ペンシルバニア州、ロードアイランド州、バーモント州、バーモント州、コロンビア特別区。ニューヨーク、シアトル、プロビデンス、シカゴ、サンフランシスコ、フィラデルフィア。